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どうぶつ

愛犬と家族の未来を守る 犬の「訓練士」ってどんなお仕事?

公開日:  /  更新日:

著者:和栗 恵

教えてくれた人:稲垣 芳人

一人前の訓練士になるにはどのくらいの期間が必要?

稲垣芳人さんが取得した、公益社団法人 日本シェパード犬登録協会、公認訓練士二級の証明書【写真:Hint-Pot編集部】
稲垣芳人さんが取得した、公益社団法人 日本シェパード犬登録協会、公認訓練士二級の証明書【写真:Hint-Pot編集部】

 まず、訓練士にはいわゆる公的な資格(国家資格)はありません。代わりに「ジャパンケネルクラブ」と「日本警察犬協会」、「日本シェパード犬登録協会」の3団体がそれぞれ認定している「公認訓練士資格」を取得することで、訓練士としての“実力”を示すことができます。

 僕がまず目指したのは「日本シェパード犬登録協会公認三級訓練士」の資格です(現在は二級を取得)。一般的には3団体の中では取得が最も難しいとされており、「資格を取るなら一番上を目指そう!」と考えて取得しました。

 さて、そうした訓練士の資格を取得するには、先に訓練実績を積む必要があります。僕は専門学校を卒業した後、師事する方のドッグスクールに住み込みで10年間勤務しました。そこで犬種を問わず、訓練や繁殖について学びました。

 犬のお産の日には、同じように訓練士を目指す同僚と協力して、2時間おきに順番で見守りに行くなどしていました。大変なことも多かったですが、それよりもこの10年で学んだことの方が大きかったですね。

 2007年から2016年までは訓練繁殖を学び、2016年に資格を取得。2017年に独立して「Hundeschule Inagaki(フンデシューレ・イナガキ)」という個人事務所を立ち上げました。現在は出張訓練を基本とした仕事をしています。下積みは長く、独立してからも決して安泰とは言えませんが、犬と過ごす大きな喜びが訓練士にとってなによりの報酬かもしれません。

 でも、今の僕はまだまだ半人前だと思っています。これまでに出会った犬、そしてこれから出会う犬、たくさんの犬に学ばせてもらって、いつか胸を張って「僕は一人前の訓練士です」って言えるようになれたらうれしいですね。

(和栗 恵)