仕事・人生
スイーツ激戦区の人気店 パティシエールは元高校職員 人生を変えた先輩の言葉とは
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人気洋菓子店のオーナーパティシエールと聞いて、自分とはまったく異なる道を歩んできたのでは……と思う人がいるかもしれません。でも、兵庫県芦屋市の人気店「ポッシュ・ドゥ・レーヴ芦屋」を営む伊東福子さんはスイーツ作りの道に入る前、高校の事務員として働いていました。さまざまな分野で活躍する女性たちにスポットライトを当て、その人生を紐解く連載「私のビハインドストーリー」。今回は伊東さんからスイーツに込める思いについて話をお伺いする前編です。
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夢中になった学びの日々「1日中お菓子と向き合っていても時間が足りない」
大学卒業後、神戸の高校で事務員をしていた伊東さん。残業はなく土日休みという規則的な生活を送りながら、「何か自分にスキルをつけたい」と英語検定やフランス語検定、秘書検定、簿記などの資格取得に励んでいました。職場の先輩の勧めもあり、その延長として土日に通い始めたお菓子教室が、その後の人生を大きく変えることになるのです。
「通い始めた頃は、作ったものを職場で配ると『おいしい』と喜んでもらえるのがうれしくて。半年くらい経つと、お菓子作りの方が楽しくなってきて、基礎から学びたいと思うようになりました」
元々、好きなことを仕事にしたいと考えていた伊東さん。「本当にパティシエールになりたいのか?」と自分の気持ちを確かめるため、仏パリの最高級ホテル内にある料理学校「リッツ・エスコフィエ」に夏休み中の2週間留学しました。
本場フランスで一流プロから教わる技術や知識は「すべてが新鮮」だったと言います。「1日中お菓子と向き合っていても時間が足りないくらい」と無我夢中のまま過ぎた2週間。「やっぱりお菓子作りが好き」と自分の気持ちを再確認したことは言うまでもありません。帰国後に相談した職場の先輩は、「自分がやりたいことをやった方がいいわよ」と背中をポンと押してくれました。
仕事を辞めて上京し、フランスで設立された料理学校「ル・コルドン・ブルー」の東京校(渋谷区・代官山キャンパスは現在閉鎖)に通い始めたのが24歳の時。授業がある週2日以外、朝はパン屋、昼はコールセンターで働きながら授業料と生活費を捻出する日々でしたが、苦痛ではなかったと笑顔で振り返ります。
「本当は疲れていたはずなんですけど、新しいことを吸収したり、新しいお菓子に出会えたり、癒される時間でした。まったく基礎がなかった私に、レシピを考える上での土台を作ってくれた場所。成長できた場であり、それまでの失敗に対して『こういうことだったんだ』という気付きがとても多い場でした」