どうぶつ
ヤドカリの中身が丸見え! 驚きの生態を飼育員さんが伝授 自然界での習性を利用
公開日: / 更新日:
生き物に直接触れられる展示が人気 今後はマニアックな特別展も
では、話題のヤドカリは、どのようにしてガラス製の貝殻に住むようになったのでしょうか。
ヤドカリが自分の体の大きさに合った巻き貝の殻に住み着き、成長に合わせて“宿替え”つまり貝殻の“引っ越し”をすることは比較的知られていると思います。ヤドカリは貝殻が狭くなってくると、適当な貝殻を見つけて自身のハサミを使って大きさを計測。そして、ちょうどいい貝殻を見つけると、素早く古い貝殻を脱ぎ捨て、新しい貝殻に引っ越します。
飼育員の本多正樹さんによると、ガラス製の殻に入ってもらう方法はとてもシンプル。移ってほしいヤドカリと殻を一緒のケースに入れしばらく待つだけなのだそうです。
「とにかく辛抱強く待ちます。とはいえ、なかなか移ってくれない時には、殻に振動を与えて出てきたところに新しい殻を差し出し、入ってもらうようにしています。自然界では2匹でぶつかり合って相手を殻から追い出す行動が観察されており、その習性を利用しています」
また、“宿替え”を繰り返すヤドカリですが、その成長方法は意外なことに、脱皮を繰り返すことなのだとか。脱皮は殻の中で行われています。
「ちなみに、ヤドカリは殻の中でフンをします。腹部に腹肢(ふくし)と呼ばれるオール状の脚があり、出したフンはそれらを使って殻の外へ放出して処理します。フンをするためにわざわざ殻を脱ぐ必要はありません」
こうして来館者に一歩踏み込んだ展示を披露してくれる同館。一番の見どころを聞いたところ、本多さんは「タッチングプール」と教えてくれました。この展示では世界最大のカニ「タカアシガニ」や“生きた化石”と呼ばれる「カブトガニ」、人気の高い深海生物「オオグソクムシ」などにも直接触ることができます。
また今後は、かわいい名前とは対照的に、猛毒を持つことで知られる「スベスベマンジュウガニ」の特別展も開催予定。スベスベマンジュウガニだけを集め、“推し”の個体に投票をするマニアックな企画展です。
着ぐるみを着て解説してくれることもあるという本多さん。楽しい解説や工夫がいっぱいの同館で、海の生物に対する理解を深めたいですね。
(Hint-Pot編集部)