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母がくも膜下出血で緊急手術…父はパニック発作 「他人事とは思えない」実録漫画が話題
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寒さによって血管が収縮したり、逆に寒い場所から暖房がきいた部屋に入ることで血管が拡張したりするなどして、血圧の変動が多くなる冬。脳卒中の発症数が特に増える傾向にあるため、注意が必要な季節です。発症後はなるべく早く適切な処置をすることで、予後が大きく変化するといわれています。サインを見逃さないためにも、経験者の声はとても参考になりますよね。そこでご紹介するのは、2021年10月に突然、母親がくも膜下出血で倒れた時の状況を事細かに描いた実録漫画です。作者のみもふ(@mimohu)さんに後日談や入院時に役立ったものなどをお伺いしました。(監修:埼玉医科大学国際医療センター脳卒中外科 鈴木海馬医師)
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頭痛を訴えた母の容態が急変 緊急手術から回復まで
脳卒中の一つである「くも膜下出血」は、発症時の死亡率が約50%と非常に高いことでも知られています。厚生労働省の人口動態調査によると、2019年のくも膜下出血による死者は1万1731人。40歳以上では5万人あたり20人程度が発症するといわれており、誰にとっても決して縁遠い病気ではありません。
また、処置が遅れると重篤な後遺障害などのリスクもあります。日頃の健康管理がとても大切なことはもちろんですが、いざ自分や家族が発症した時に適切な対応ができるかどうかもその後を大きく分けるのです。
2021年10月19日の午後2時頃、みもふさんのお母さんは頭痛を訴え始めました。みもふさんはお母さんが白湯を一気飲みしたことに違和感を覚えつつも、手足や表情、呂律に変わった様子がないため、「脳の“何か”ではなさそうだな」と判断します。
しかしその後、あっという間に状況は変化。お母さんは後頭部の激しい痛みを訴え、吐き気と嘔吐で前屈みになったまま動けなくなってしまいました。鈴木医師によると、この時の痛みは「バットで殴られた感じの、人生で経験したことがない頭痛」と例えられることが多いようです。
お母さんの急変ぶりに慌てて救急車を呼んだみもふさん。お母さんはすぐに搬送された後、麻酔を施されて絶対安静になります。そして、検査でくも膜下出血を発症していることが判明。緊急手術が行われました。
突然の出来事でしたが、お母さんの手術は無事に成功。しかし、担当医からは手術が成功しても「2週間は安心できない状態が続く」と説明されます。それは「脳血管攣縮」といわれる合併症を発症する可能性があるからです。
漫画に登場する担当医は、「脳が出血に反応して血を止めようとしてしまう」のが原因だと噛み砕いて説明しています。鈴木医師によると「脳に残ったくも膜下出血が、脳の血管に化学反応を起こして血管を収縮させる」ために発症するそう。これにより、脳梗塞となって後遺症が残る場合や死亡することもあるといいます。
そんな予断を許さない状況の中、お母さんはつらい入院生活を耐え抜き、大きな後遺症もなく3週間後に退院することができました。みもふさんは、発症したのが新型コロナウイルスの感染拡大がやや落ち着いてきた時期であったことや、たまたま実績ある医師にすぐ治療してもらえたことなど、いくつもの幸運が重なっての結果だったと振り返っています。
また漫画には、お母さんの手術中に自身が抱いた心情や、気丈に振る舞っていたお父さんが一時的なパニック発作を起こしてしまったこと、私生活の変化など、病気になった家族を支える側の気持ちと生活がリアルに描かれています。
漫画は大きな反響を呼び、5.8万件もの“いいね”を集めました。また、「助かって良かったです。本当に良かったです」「もし自分の親がこうなったらパニックで何もできそうにないから投稿者尊敬ですわ」「これはみんなに見てほしい」「私も高齢の母がおりますので他人事とは思えませんでした……」といったリプライ(返信)も殺到。お母さんが無事回復に向かっていることを安堵する声や自身の経験談を綴るコメントも多く見られました。