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東大寺の僧侶と同じ薬湯を自宅でも 誕生の経緯と中身に歴史がぎっしり 誕生の裏側は
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生薬文化は寺院文化 変わらない奈良を象徴する存在
元々、奈良は修学旅行の定番。薬湯は「おじいちゃんおばあちゃんのお土産として」という側面もありました。また、薬湯を共同開発した「奈良好き人のつどい」は、「平城遷都1300年祭」が開催された2010年に発足したNPO法人。奈良の良さを多くの人に知ってもらい、その歴史や文化などを通じた諸事業で地域経済の活性化に寄与するという理念があります。これも薬湯の誕生につながった要因です。
近年は関西圏を訪れる外国人観光客も増加していましたが、コロナ禍により激減。神社仏閣の拝観者数も大きく減少しています。それでも辰巳さんは、こうした薬湯などをきっかけに「少しでも奈良に興味を抱いてもらえれば」と願っています。
「中国人の友人は『奈良には中国で失われた文化が残っている』と言いますね。この薬湯に使っている生薬にしても、元は仏教と一緒に伝来したもの。奈良の南部で栽培する文化が根付きました。ですから、生薬文化は寺院文化でもあり、奈良から都が離れる時も寺院と一緒に残ったわけです」(辰巳さん)
たかが薬湯と言うなかれ。歴史ある奈良で作られたものだからこそ、お湯に浸かればまさに“歴史と文化に浸る”ことが可能になります。「奈良の良さは変わらないこと」とも語る辰巳さん。残りの寒い季節はぜひ、体を温めながらはるか昔に思いを馳せるバスタイムはいかがでしょう。
(Hint-Pot編集部)