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ジョコビッチ問題に揺れるオーストラリア “コロナ優等生”に今何が起きているのか

公開日:  /  更新日:

著者:守屋 太郎

オーストラリアの最大都市シドニー。同都市をはじめ国内で変異株が猛威を振るっている【写真:Getty Images】
オーストラリアの最大都市シドニー。同都市をはじめ国内で変異株が猛威を振るっている【写真:Getty Images】

 日本でも1日あたりの新規感染者が5万4000人を超えるなど、猛威を振るっている新型コロナウイルスの変異株。現在、夏真っ盛りのオーストラリアも感染が急拡大しており、社会への影響が顕著に現れているようです。そんな同国のコロナ事情を、現地在住ジャーナリストの守屋太郎さんが前後編の2回にわたってお届けします。前編は「“コロナ優等生”と評されたオーストラリアの現在とこれまで」です。

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新規陽性者が1日10万人超 オミクロン株の感染爆発

 新型コロナウイルスのワクチン接種をめぐり、オーストラリア政府が男子テニス世界ランキング1位のノバク・ジョコビッチ選手のビザを取り消した問題が、波紋を広げています。結局、裁判所はビザ取り消し撤回を求めたジョコビッチ選手の訴えを認めず。ジョコビッチ選手は現地時間1月16日に出国し、4連覇をかけた全豪オープンには出場できませんでした。

 その是非はさておき、今回はオーストラリアにおける最新のコロナ事情についてリポートしましょう。

 オーストラリアでは今、変異株「オミクロン」による第4波が猛威を振るっています。昨年12月上旬の新規感染者数(1週間平均)は1日1400人前後でしたが、1月14日時点では10万7528人と激増しました(英オックスフォード大学のデータベース「Our World in Data」調べ)。

 オミクロン株の感染が急拡大した昨年12月末以降、筆者がスーパーや飲食店に出かけると、スマートフォンには毎日のように通知が届きました。「○○で感染者が出ました。症状が出た場合はすぐに検査を行い、結果が出るまで自宅で隔離しなさい」という内容で、まさに“石を投げればコロナ感染者に当たる”勢いで感染者が激増しているのです。

 オーストラリアでは個人の行動履歴を徹底的に把握し、感染拡大を強制的に封じ込める政策を採っています。筆者が住むシドニーの地元州政府は、市民が小売店や飲食店などに入る際、入口のQRコードをスマホアプリで読み取ることを義務付けました。同じ場所、同じ時間帯に感染者がいた場合、上記のような警告をスマホに通知する仕組みです。