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ゴミ屋敷問題はなぜ発生? 役所勤務の1016人が回答した現実 対処不可能のケースとは

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部

「指導を聞かない場合は対処不可能」の声も 実際の対処は?

そこで具体的な対応を求められるのが役所です。「相談すれば何とかしてくれる」と思いたいところですが、「相談を受けても対処できない案件はありますか?」との設問に対し「かなりある」(39.6%)、「時々ある」(29.6%)と回答した人は合わせて7割近い結果に。実際にできなかった案件としては、以下の声があったそうです。

「相談しに来たが、本人にやる気がない」(20代・男性・石川県)
「動物の多頭飼いなど先に解決するべきことや、本人が嫌がる」(30代・女性・大阪府)
「所有者不明で、法的に手をかけることができない」(40代・女性・青森県)
「個人の資産なので手が出せない」(50代・男性・埼玉県)

年を重ねると、指摘の内容はさておき「他人にとやかく言われたくない」という気持ちが強くなることもありますよね。さらに認知症などを患っているケースや、法律や個人資産であるという事実が作る“ハードル”の存在も想像にたやすいでしょう。では、役所が対処可能・不可能と判断するポイントはどこにあるのでしょうか?

「基本すべて注意・指導を行うのみのため、特に判断基準はない」(40代・男性・岐阜県)
「住人自身に認知能力があるまたは支援者を見つけられる場合は対処可能」(20代・女性・埼玉県)
「法的に可能だったり、管理者とコンタクトが取れて協力的な場合は対処できると思います」(30代・男性・沖縄県)
「指導に従う場合は対処可能ですが、聞かない場合は対処不可能です」(50代・男性・福岡県)

判断するポイントは役所によってさまざまのようです。そして、対処可能と判断された場合は、以下のような方法があるとのこと。

「法律相談の案内。火災の心配であれば消防へ連絡していただく。空き家であれば空き家対策担当へつなぐ」(30代・女性・埼玉県)
「1. 現地確認。2. 当事者の身辺調査。3. 解決策の模索、検討。4. 公費による代執行の可否など」(50代・男性・大分県)
「現地確認を行い、住人のキーパーソンとなる関係者の協力を得ることが必要。また、福祉的な支援の検討も行う」(30代・男性・栃木県)
「市職員による片付け、運搬、処理は業者対応(処理費用は原則、当事者)」(40代・男性・北海道)

もちろん以上は、回答者が勤務する役所の方針などにもよるため、一概にこうするべきという“正解”ではありません。また、その役所が都道府県レベルか市町村レベルかも属性としては明かされていないことにも留意が必要でしょう。とはいえ、ケースによって臨機応変な対処が求められている状況を読み取ることができます。

ゴミ屋敷が“迷惑”であることは確かですが、社会全体としては当事者がゴミ屋敷を作るに至った理由やその経緯を理解し、そうした事態を招かない環境を作る意識も大切かもしれません。コロナ禍ではなかなか難しいですが、近隣住民同士の挨拶や声かけなどで、老若男女がお互いに見守り合う社会がやはり理想ですね。

(Hint-Pot編集部)