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ライフスタイル

丁寧でシンプルな暮らし 無理なく実現するカギは「今の自分ならどうする?」の考え

公開日:  /  更新日:

著者:小田島 勢子

母との電話で驚いた理由 今を自分らしく生きる姿

 どんなことでも自分の大切にしたいことを心地よく、無理なくできればとても素晴らしい。けれども、それが「そうでなければ」という意識になってしまうと、自分自身だけでなく自分と関わる人たちにとっても苦しくなってしまうでしょう。

スタジオジブリのアニメ映画『となりのトトロ』のお弁当をメザシや桜でんぶで再現。調理は子どもと楽しみながら【写真:小田島勢子】
スタジオジブリのアニメ映画『となりのトトロ』のお弁当をメザシや桜でんぶで再現。調理は子どもと楽しみながら【写真:小田島勢子】

 例えば、食事の用意。お米を土鍋で炊くことや、毎日家族に手作りのお弁当を作ることを「丁寧な暮らし」とする人もいれば、炊飯器やお店で買うお惣菜をうまく使い、少しでも長く子どもと一緒の時間を過ごすことに重点を置く人もいます。

 そう考えると、自分の大切にしたい「丁寧」がどこにあるかは一人ひとりの価値観や生活環境、ライフステージなどによって異なります。

 先日、日本で暮らす母と話していた時に「せいこちゃん、土鍋や鋳物(鉄鍋ややかんなど)は重たくない? 子育てしていて電子レンジがなくて不便ではない?」と質問がありました。

 この質問にはちょっとびっくりしました。なぜなら、母が今の私と同じくらいの年齢だった時、土鍋でご飯を炊き、南部鉄器でお湯を沸かし、みそを何キロと漬けていたのを見ていたからです。

 私が「いや。おいしいし、扱いが楽だし、私が好きなものを使わせてもらっているから、今のところ不便を感じたことがないよ」と答えると、「あの頃は私も体力があったし、家族も多かったしね」と母。そして、こう続けました。

「でも、年を取ったから食べる量が減ったし、食べ盛りの子どもがいるわけではない。土鍋も鉄鍋も重たくて。だから炊飯器や電子レンジ、電気ポットもお気楽でいいわー!」

 まさしく! 何気ない会話の中に今を自分らしく生きる母の姿がありました。

子どもの成長に合わせて変化したライフスタイル

 子どもがまだおっぱいを飲んでいる時期、我が家は炊飯器でお米を炊いていました。電子レンジがあった頃は、レンチンレシピも多く活用。振り返ればこの時期は本当に体力も気力もいっぱいいっぱいで、あの時代をサポートしてくれた電化製品には感謝しかありません。

 子どもたちがある程度自分のことを自分でできる年頃になった今、時間や体力、気力に少しゆとりができて、現在のライフスタイルに至っています。そして将来、子育て時期が終わり、母のように自分の時間を生きることができるようになったなら、その時はまたその時の自分らしい「暮らし」へと変化するでしょう。

 土鍋の良さも、炊飯器の素晴らしさもどちらも知った上で、「今の自分ならどうする?」が「丁寧」で「シンプル」な暮らしにつながっているのではないかと思うのでした。

 次回は「私の暮らしに取り入れたもの、さよならしたもの」についてお話しします。

(小田島 勢子)

小田島 勢子(おだしま・せいこ)

ナチュラリスト。結婚を機に2004年に南カリフォルニア州へ移住し、3人の女の子を米国で出産。ロサンゼルスの片田舎でバックヤードに鶏たちと豚のスイ、犬のトウフとともに自然に囲まれた生活を送る。母になったことをきっかけに食や環境の大切さを改めて感じ、できることからコツコツと、手作り調味料や発酵食品、スーパーフードやリビングフードを取り入れた食生活をメインに、食べるものは「できるだけ子どもと一緒に作る」「残さない」がモットー。2015年に「RUSTIC」を設立。日本で取得した調理師の知識や経験を生かして食のアドバイザー、ライフスタイルのコーディネーターとして活動。日米プロスポーツ選手やアクション映画俳優の身体作りのアドバイザー、みそ、お酢、漬け物など発酵食品作りの講師、創作料理のケータリングなど幅広い分野で活躍。
https://rusticfarmla.com/