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謎の激痛に襲われる…元読モのシングルマザーが語る闘病記 「娘のために強くなりたい」

公開日:  /  更新日:

著者:和栗 恵

線維筋痛症と闘いながら、モデルとしての再活動を目指す十文字舞さん【写真提供:十文字舞】
線維筋痛症と闘いながら、モデルとしての再活動を目指す十文字舞さん【写真提供:十文字舞】

 奈美悦子さん、八木亜希子さん、堀ちえみさん、広田レオナさん、そしてレディー・ガガさん――彼女たちは、とある共通の経験を持っています。その経験とは「線維筋痛症」に罹患したこと。日本では約1.7%(約200万人)が発症し、成人女性に多い病気と言われています。決してまれな病気ではないものの世間的な認知は進んでおらず、つらい気持ちを抱えたまま暮らしている方が多いのが現状です。

 そこで今回は、線維筋痛症を患う元モデルの十文字舞(じゅうもんじ・まい)さんにインタビュー。痛みに悩まされながらもシングルマザーとして子育てに奮闘する舞さんに、病気との付き合い方や感じたこと、願いといった思いについて伺いました。

 ◇ ◇ ◇

ある日突然、体を襲った原因不明の激しい痛み

 十文字舞さんが線維筋痛症を患ったのは、今からおよそ2年前。2019年も終わろうとする頃のことでした。その少し前から、移動性の神経痛のような痛みに悩まされていたそうです。

 病気とは無縁だった10代の頃は、読者モデルとして活躍。17歳で雑誌「Cawaii!」(09年休刊)に登場し、その後「Popteen」や「BLENDA」(現在は「BLENDA Japan」)、「egg」など名だたるストリート系女性誌に登場しました。22歳で双子を妊娠しましたが、死産を経験。その後は1児に恵まれ、シングルマザーになってからはアパレル業界で働き、一人娘を育てました。

 娘が大好きな東京ディズニーランドに親子揃って遊びに行く……そんな小さな幸せを糧に生きていた彼女をある日、激痛が襲いました。

「それまでの神経痛とは、痛みの強さがまったく違いました。とにかく痛くて痛くて、それ以外のことが何も考えられないほどだったんです」

 病院の○○科を受診。血液検査などさまざまな検査を受けた結果、診断されたのは「線維筋痛症」でした。しかし、病名が分かっても痛みが出る場所は時によってさまざま。痛みの感じ方もまったく違うため、対処が難しい面があります。

「全身火傷をしたようなヒリヒリとした痛みや、骨をねじり上げられているような痛みです。爪をはがされるような指先の鋭い痛みや、剣山でブスブスと刺されているような痛みを感じることもあります。割れたガラスが血管の中を通っているような、チクチクとした痛みが全身に走ることもありました。

 ひどい時には、日本刀のような鋭く長い刃物で、ザクザクと背中を切り刻まれているような痛みが長く続くこともあるんです。あまりの痛みに叫び声を上げて、道端にうずくまってしまったこともあります」

 診断が下るまでは、「仮病じゃないの?」「そんなに痛いわけないでしょ」「サボるための口実では?」と周囲から心無い言葉を浴びせられ、精神的につらい思いもしてきました。

「痛みの場所がコロコロ変わるからだと思うのですが、なかなか人に理解してもらえなくて。痛みのあまり叫んでしまったときは、父親から『お前、バカみたいだな』って言われて……でも、言い返す気力すらありませんでした」

 痛みに苦しみ、つらい毎日を余儀なくされる病気ですが、詳しい原因は不明。そのため根本的な治療法がなく、症状に応じた対症療法です。「そんな難しい病気なのに、日本では指定難病にすらされていないんですよ……」と、舞さんは力なく笑います。