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仕事・人生

長男の大病発覚が転機に…東大卒女性が奮闘した仕事と子育ての両立 起業への道のり

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部・出口 夏奈子

東京・代官山の店舗で自身のブランド「SOEJU」のアイテムに身を包んだ市原明日香さん【写真:荒川祐史】
東京・代官山の店舗で自身のブランド「SOEJU」のアイテムに身を包んだ市原明日香さん【写真:荒川祐史】

東京大学卒業後、外資系企業を経て起業……パーソナルスタイリングサービス「SOEJU personal」(ソージュ パーソナル)を運営する「モデラート」の市原明日香さんの経歴は、“輝かしい”と呼びたくなる内容です。しかしながら、「生きる」中で感じることや苦悩はやはり存在しています。さまざまな分野で活躍する女性たちにスポットライトを当て、これまで人生を紐解く連載「私のビハインドストーリー」。今回は「長男の病気が人生を考えるきっかけになった」という、市原さんのストーリーをお届けします。

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東大からアクセンチュアへとバリキャリの道を歩み始めた中で結婚・出産

子どもの入学式や数年ぶりに開催される同窓会など、ちょっとした特別な日の服装に頭を抱えた経験は、誰しもあるのではないでしょうか。そんな時、持っている服を用途に応じてコーディネートしてくれるプロのサービスがあったなら……。そんな思いから生まれたのが、パーソナルスタイリングサービス「SOEJU personal」です。市原明日香さんが2018年に立ち上げました。

市原さんは東京大学の卒業生。在学中は「女性のロールモデルが少なかった」そうで、先輩に当たる雅子さま(当時・小和田雅子さん)が外交官として活躍されていたこともあり、一時期は「外交官もいいな」と思ったことも。しかし、少し勉強に疲れてしまったこともあり、一般企業への就職を決めたと言います。

ただ、自分にどんな業種が向いているのかは分からない。そこで、いろいろな会社を見ることができる外資系の総合コンサルティング会社「アクセンチュア」で、キャリアをスタートさせました。

「いろんな会社に“お医者さん”として入れる経営コンサルティングという仕事を希望して、アクセンチュアに入社しました。コンサルタントはそれぞれに専門領域を持ち、私の担当分野は『カスタマーリレーションシップマネジメント』。当時米国から輸入してきた概念で、お客様のデータを元に関係を構築し、お客様から得られる生涯利益を最大化する、すなわちお客様との関係を構築し続けていくという分野です。

個人的にも、消費者に近い仕事の方がやりがいもあって面白いと思ったので、消費財マーケティングの方に興味が動き始めました。その時に『ルイ・ヴィトン』にいる友人から声を掛けてもらって、転職することになりました」

今でこそ「東大からアクセンチュア」は王道コースの1つです。とはいえ、市原さんが卒業した当時、女性の選択としては珍しかったのではないでしょうか。

「女性だからって仕事で損はしたくないという思いがあって。外資系であれば、男女関係なく活躍できるんじゃないかという思いがありました」

いわゆる“バリキャリ”の道を歩み始めた市原さんでしたが、次第に留学してMBA(経営管理修士)を取得したいという思いが芽生え始めます。しかし、27歳の時に結婚。「正直、あまり深くは考えていなくて流れだったんです」と語りますが、夫になる男性から「結婚しても留学できるよ」と言ってもらえたことが決断を後押ししたそうです。ただし、そのまますぐに子どもができため、「もうそんなことは言っていられない環境になってしまったんです(笑)」と続けます。