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どうぶつ

盲導犬候補の子犬を預かるボランティア 始めた一家の奮闘記 子どもたちは急成長?

公開日:  /  更新日:

著者:和栗 恵

委託式の当日までドキドキ

「早く来ないかな」と子どもたちは心待ちにしていましたが、コロナ禍の影響もあり機会が訪れるまでには1年半ほどかかりました。日本盲導犬協会から委託の連絡をいただいた時、どちらかというとおとなしい長女がピョンピョンと飛び跳ねていて、見ていた私も一緒にうれしく思ったほどです。

協会職員からジェニーを渡される古澤真由美さん。そばには長女の愛香ちゃんと次女の叶海ちゃんの姿も【写真提供:日本盲導犬協会】
協会職員からジェニーを渡される古澤真由美さん。そばには長女の愛香ちゃんと次女の叶海ちゃんの姿も【写真提供:日本盲導犬協会】

 ジェニーという名前は長女のアイデア。あらかじめ協会側から「J」が付く男の子と女の子の名前をそれぞれ3つ用意して提出するよう言われたのですが、Jが付く名前はすでに使われているものも多く、提出ギリギリまで家族揃って悩みに悩みました。

 そこで第1候補を、長女が好きな韓流アイドル「BLACKPINK」のメンバー「ジェニー」からいただきました。そして「彼女のようにみんなから愛されて、キラキラ輝けますように」という願いが込められた、この名前に決定しました。パピーをお預かりする「委託式」の当日に名前や性別などが分かるため、子どもたちと一緒にドキドキしていましたね。

パピーを預かった当日から子どもたちが急成長

 パパがギリギリまで反対していた理由は、まだ子どもたちが幼いから。私に頼り切りになるのではないか? 面倒を見ると口で言いながら三日坊主になるのではないか? といった状況になることを恐れていたためでした。

 でも、フタを開けてみればびっくり。子どもたちは驚くほど協力的で、自分たちなりに考えてジェニーの面倒を見てくれています。

 役割分担は特に決めていないのですが、私が寝坊してしまった日など、息子が朝6時前に起きてうんちをさせてくれていたこともあります。ジェニーが来るまでは「僕は絶対に、うんちの世話はしない!」と言っていた息子が、自分から進んで処理を手伝い「ママ、ジェニー、うんち出たよ! おしっこもしたよ!」と笑顔で報告してくれたのです。

 パパの意見を聞いていたこともあって、実は私自身の中にも、ジェニーが来る直前まで不安な気持ちはありました。今だから言えますが、お預かりする前日は不安で眠れなかったほど。短いようで長い10か月という期間、子どもたちが面倒を見ることができるのだろうか? パパの言うように最初だけだったらどうしよう? ジェニーを預かったことで家族が良くない方向に行ってしまったら……?

 でも、そんな不安はすべて杞憂であったことが、ジェニーをお預かりした当日に分かりました。「盲導犬の里 富士ハーネス」からジェニーを連れて車に乗り込み、いざ我が家へ。1時間半ほどかかるため、夕方6時を過ぎて夕ごはんの時間になっていましたが、子どもたちは誰一人として「お腹が空いた」とわがままを言い出さないのです。

 普段なら「もう我慢できない! 何か食べたい! どこか行こう!」って大騒ぎをするはずなのに、「ママ、コンビニのおにぎりでいいから、早くおうちに帰ろう?」と……。「こんなにも変わるものなの?」と、子どもの成長の早さに驚くばかり。ジェニーも「もっと吠えたり鳴いたりするのかな?」と思っていたのですが、とてもおとなしくしてくれて。本当に素敵な犬が我が家に来てくれました。