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留学の人気国オーストラリア 外国人の受け入れを再開 背景にある政府の思惑とは

公開日:  /  更新日:

著者:守屋 太郎

入国後検査は簡易キットでOK 陰性なら自由な生活が可能に

迅速抗原検査(RAT)キット。年初は品薄となっていたが、2月中旬の時点ではシドニー市内の薬局で常に入手できるように【写真提供:藤原愛彦】
迅速抗原検査(RAT)キット。年初は品薄となっていたが、2月中旬の時点ではシドニー市内の薬局で常に入手できるように【写真提供:藤原愛彦】

 国境を再開したオーストラリアは今、日本からの留学生をどのように受け入れているのでしょうか? 実際の運用状況について、シドニーで語学学校やホームステイ先の紹介、農場の有給インターンシップ運営などの事業を手がける「クー・オーストラリア」代表取締役・藤原愛彦さんはこう語ります。

「オーストラリア政府は日本人に対しひと足早く、昨年12月15日に国境を開放しました。年内から年明けくらいまでの日本側は、まだ様子見といった感じ。この時期にオーストラリアへ渡航した人は、ロックダウン前に日本へ帰国していたほんの一部の留学生だったと思います」

「コロナとの共生」に舵を切ったオーストラリア政府は、留学生やワーホリ滞在者などの外国人を積極的に受け入れる方針に転換。スコット・モリソン首相は1月19日、向こう12週間以内に入国するバックパッカーや学生に対しビザの申請費用を免除するといった奨励策を発表しました。

 オーストラリアにとって留学産業は外貨を稼ぐ重要な“輸出産業”ですが、コロナ禍で大打撃を受けました。また、外国人の若者は飲食業や接客業、農場の収穫作業などに不可欠な労働力でしたが、コロナ禍で激減。政府の奨励策には、留学産業の復活を支援すると同時に、一部の業界で深刻化している人手不足を解消したいという思惑もあるのです。

 こうした取り組みもあって、新たに学生・ワーホリビザの発給を受けて渡航する日本人も徐々に増えているそうです。入国後の強制隔離はなくなり、検査も簡素化されています。

「入国後24時間以内に迅速抗原検査(RAT)キットで自主的に検査を行い、陰性であれば、病院や高齢者施設といった『リスクの高い場所』を除き、自由に外出することが可能です。6日目にRATで再検査して陰性であれば、後は自由に生活できます」(藤原さん)

 次回は、コロナ禍のオーストラリアに残った日本人留学生の生活や今後のオーストラリア留学の見通しなどについて、引き続き藤原さんに解説していただきます。

(守屋 太郎)

守屋 太郎(もりや・たろう)

1993年に渡豪。シドニーの日本語新聞社「日豪プレス」で記者、編集主幹として、同国の政治経済や2000年シドニー五輪などを取材。2007年より現地調査会社「グローバル・プロモーションズ・オーストラリア」でマーケティング・ディレクター。市場調査や日本企業支援を手がける傍ら、ジャーナリストとして活動中。