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ポケモンの黒板アートに23万人が称賛 卒業生に向けて美術教師が制作「素敵な旅立ち」

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部

実は“冒険2部作”だった黒板アート 今回の卒業生が入学してきた時にも

 見事に“サプライズ”を完遂したポーションさんですが、通常業務で忙しかったこともあって、当初は何もしないつもりだったのだとか。しかし、「卒業式に何を描いてくれるのか楽しみ」という生徒の声が聞こえてきたことで、「何か驚かせてやろう」と制作を決意したそうです。

 生徒たちはそもそも、なぜポーションさんの黒板アートを期待していたのでしょうか? 話は3年前にさかのぼります。

 新入生を驚かようと考えたポーションさんは、人気ゲーム「ドラゴンクエスト」のキャラクターを黒板に描きました。新入生とともに「冒険の旅に出る」というコンセプトだったこともあって、大変喜ばれたそうです。

3年前に描いたドラクエの黒板アート。この時はモノクロだった【写真提供:ポーション(@wistariavillage)さん】
3年前に描いたドラクエの黒板アート。この時はモノクロだった【写真提供:ポーション(@wistariavillage)さん】

 そしてこの度、当時の新入生が卒業。高校での「冒険の旅」を続けていた生徒たちはそれぞれが新たな道に進むため、やはり「冒険」がテーマのポケモンの世界観を通じてエールを送ろうと考えたのです。こうしてポーションさんの壮大な“冒険2部作”は完結しました。

 ちなにみ、入学式のドラクエは白いチョークだけを使ったモノトーン作品で、カラーでの制作は今回が初めてだったそう。

「通販サイトで12色のチョークを購入したのですが、青色が極端に明るいものしかなかったので、それをどうするかが一番悩みました。あと、一番暗い色は黒板の色なので、それをうまく使って仕上げるところが難しかったです」

 一方でポーションさんは、鉛筆画による制作活動にも熱心。富山県で細密画を描いておられる古谷振一さんの作品に着想を得て、芸術系3年生の授業の一環として5年ほど前から取り組んでいるそうです。また行政との協力のもと、全校生で爪楊枝を使ったモザイクアートにも挑戦。大きな反響を呼びました。

「黒板アートは以前文化祭で行っていたのですが、コロナ禍で行っていません。ですが、現在は『黒板アート甲子園』などのイベントも盛んに行われていますし、またそれを見て挑戦したいと言ってくれる生徒が出てきたら面白いなと思っています」

 自由な発想で懸命に作り、観る人を感動させる……そうしたアートの楽しみを率先して示すポーションさん。今後は生徒たちとともに、多くの人が驚く作品を見せてくれそうです。

(Hint-Pot編集部)