Hint-Pot | ヒントポット ―くらしがきらめく ヒントのギフト―

漫画

「適当でいい」は子どもに難しい…専門家の言葉にママ衝撃 頑張りすぎる子の心理とは

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部

「『適当は大人でも難しい』というお言葉をいくつかいただきました」

 子どものストレスを少しでも軽減しようとかけた「適当でいいよ」の言葉。それが実は子どもを困らせていた……。衝撃的な体験をした花森さんに、詳しいお話を伺いしました。

Q. 今回のテーマで漫画を描こうと思った理由を教えてください。
「臨床心理士の先生から『大人の求める“適当”は大人の言うことを理解して適度に手を抜くこと』と言われたことが、すごく衝撃的で……。これまで“適当”とは、フルで力を使いすぎないように、今回の場合ですと娘がしんどくなりすぎないように、雑な言い方になりますけれど『いい加減でいこう』という気持ちでした。

『適当は悪いことじゃないよ! 手を抜いてもいいんだよ!』と伝えていたのですが、これが逆に娘を困らせていることになるとは思わず……。戒めの意味も込めまして、これは漫画にして共有したいなと思いました」

Q. 長女ちゃんが心理検査を受けられるまでの経緯を教えてください。
「字を書くことができなくなったのです。2年生までは問題なく、今でも落ち着いた環境ならできるのですが、教室にいると周囲のきれいな字を書く子が気になって、何度も書いては消してを繰り返して……。長男がずっと児童精神科にかかっているので、その診察の際に相談して長女も心理検査を受けることになりました」

Q. 長女ちゃんの心理検査と花森さんの問診は、それぞれどれくらいの時間でしたか?
「心理検査は2回にわたって行われ、初回は娘のみ一時間半、2回目は娘が別室でいろいろしている間、私も1時間程度の問診を受けました。漫画にしたのはこの時の問診です」

Q. 「適当が難しい」という話を聞いてから、花森さんの中で変化した気持ちや行動はありますか?
「繊細なところがある子なので、これまで意識してなかったわけではないのですが、以前よりも具体的に伝えるようになりました。『適当』は絶対に言わないようにしています」

Q. 花森さんの変化を受けて、長女ちゃんに変化はありましたか?
「特にないですね……。『適当でいいよ』と言われなくなったことで、宿題時の癇癪が気持ち程度は減ったかなとは思います」

Q. 心に残った読者の感想や、感想を読んで気が付いたことがございましたら教えてください。
「『適当は大人でも難しい』というお言葉をいくつかいただきました。私は恥ずかしながら適当でいい加減なところが多い人間でして……。すべてにおいて全力だと疲れるので、子どもの頃から自然とそうしてきましたが、それは『他人にどう思われようとどうでもいい』と自分と他人に対してどこか諦めてしまっているのかな、と思いました。

 娘はたとえしんどくても、きれいに書くことを諦めません。適当にすることの方がつらくて、完璧にしたいんですね。『適当』が難しいのは、自分のことや他人からの評価を諦めていないからかもしれません。

 そうしたことから、『適当』は生きるための術だと思っていると同時に「諦め」でもあるのかな、と思いました。どちらがいいのかは分かりません。娘が少しでも生きづらくならないようにしてあげたいなと思います」

Q. 「息子が学校に行けなくなった理由」シリーズを描き始めた理由を教えてください。また、描く際に気を付けていることはありますか?
「息子が学校を行くのをしぶり始めた頃、そういったことで困っているお母さんの漫画やエッセイをあまり見かけなくて。自分の経験も誰かの役に立つかもしれないと描き始めました。描く際に気を付けているのは、自分たちの失敗もちゃんと描くことです。

 例えば、先生への連絡帳で長々と綴ったところお返事がたった一行だったため、『見放された』と絶望してしまったお話を書きました。でも実際、先生からすれば忙しくて時間もなく、保護者1人にそう時間も割けません。この作品に対しては、強いお叱りのお言葉も多々いただきました。

 でも保護者からすれば、そう思ってしまうのは仕方がないことでもあるんですよね。同じようなことで困ってらっしゃる方が、こうした作品を通じて客観的に見ることで『私はこういうことをしないでおこう』とか『こう思ってしまうのが自分だけじゃなくてよかった』など、それぞれの中で思っていただければそれでいいと思います」

(Hint-Pot編集部)