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エリザベス女王の次男アンドリュー王子 溺愛が生んだ“傲慢” 見えた瞬間は過去にも
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未成年への性的暴行をめぐる米国での民事訴訟で、原告との和解が発表された英国のアンドリュー王子。長年にわたって世界の注目を集めたスキャンダルは、これにてついにエンドロールを迎えた。これまでの報道は英国内でもかなりの数に上るが、状況をストレートに伝える内容に加えて“王子の内面”に迫るものも多い。そうした記事から浮かび上がるキーワードは“傲慢”だった。英国はこのスキャンダルを通じて、王子の何を見ていたのだろうか? 「Hint-Pot」で多数の英王室記事を執筆している現地在住の森昌利氏が自身の見解を綴った。
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徹底抗戦のかまえから和解へ 大金の支払いは決まるが性的暴行は認めず
バージニア・ジュフリー(旧姓ロバーツ)さんから、当時17歳の未成年者だった自身への性的暴行で、米ニューヨーク州の連邦地裁に民事訴訟を起こされていたアンドリュー王子。現地時間2月15日には双方の弁護士が「大枠での和解」を発表し、王子が莫大な和解金を支払い、バージニアさんが創設した慈善団体に「多額の寄付」を行うとされた。
王子が破産寸前にある状況を受け、以後は和解金がどこから捻出されるのかという報道も続いた。さらに3月8日には、裁判所に「Stipulation of Dismissal」(当事者双方の訴訟代理人によってなされる合意。ここでは訴訟却下を求めるもの)の文書が提出され、裁判官が署名したとも報じられた。これをもって訴訟は正式に終結を迎えた一方、王子は和解金を支払ったとみられている。
王子が支払う金額は公表されていないが、複数の英メディアは1000万ポンド(約15億6000万円)、または1200万ポンド(約18億8400万円)と報じた。英王室の沽券に関わるスキャンダルだったとはいえ、これは法外な金額だ。
ただし、これだけの金額を支払うとされても、2月15日に発表された和解に関する文書は、英王室継承順位9位の王子が本当に性的暴行を働いたかどうかを断定することができないものだった。
文書の一語一句について、双方の代理人が熾烈な争いを繰り広げたのは間違いないだろう。王子側はバージニアさんが性的暴力の被害者であり、メディア上で誹謗中傷を受けたと認めたが、王子による性的暴行の事実は認めなかった。一方のバージニアさん側は、訴訟から王子を逃した代わりに、莫大な和解金を手にしたのである。
しかし、英メディアが和解発表後に報じた内容を見ると、王子の印象は限りなく“黒”に近い。SNS上ではさらに、王子を露骨に「有罪」と断定する投稿が相次いでいる。
確かに莫大な和解金を支払えば、誰もが有罪だと思うだろう。無実なら裁判で徹底抗戦して、身の潔白を主張すれば良いと。事実、和解発表前までの王子側は裁判で戦い抜くことを宣言するなど、対決姿勢を明らかにしていた。
ところが、そんな王子側の好戦的な態度とは裏腹に、英国内で王子が米国の法廷に立つと信じていた人はほぼいなかった。大多数の王室記者や王室専門家が和解を推測しており、その通りの結果になったというわけだ。