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エリザベス女王の次男アンドリュー王子 溺愛が生んだ“傲慢” 見えた瞬間は過去にも
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“愛の証”であるアンドリュー王子 エリザベス女王の溺愛が影響か
しかし、なぜここまでこじれたのだろうか。それにそもそも、なぜエリザベス女王の次男であるアンドリュー王子が、性犯罪者として早くから疑惑を持たれていたジェフリー・エプスタイン容疑者(故人)との親交を続けたのか。
それは結局、今回の和解報道で王子の最大の“性格的欠陥”として頻繁に指摘された「傲慢さ」が原因なのかもしれない。英国王室の特権に慢心し、何をやっても許されるという驕り。英メディアはそんな王子の性格が、エプスタイン容疑者との関係を続けた最大の理由と見なしているようだ。
ちなみにGoogle検索で「Andrew’s Arrogance」(アンドリュー王子の傲慢)と入力して検索すると、多数の記事がヒットする。例えば英紙「ガーディアン」(電子版)は2月15日、「愚かさと傲慢はアンドリュー王子のすべてを犠牲にした(Stupidity and arrogance have cost Prince Andrew everything)」という見出しの記事を掲載した。
ではなぜ、アンドリュー王子がその地位にふさわしくない内面と傲慢さを膨張させてしまったのか。それは残念ながら、聡明かつ謙虚で慎重なエリザベス女王の“溺愛”に起因していると言わざるを得ないだろう。
女王の第3子である王子は1960年2月19日生まれで、現在は62歳。第2子のアン王女は1950年8月15日生まれの71歳で9歳差、第1子のチャールズ皇太子は1948年11月14日生まれの73歳で12歳差となる。王子が“年の離れた次男”になったのは理由があるという。それは、女王と昨年4月に死去したフィリップ殿下の間に存在したといわれる不仲の時期だ。
少女時代の女王が美男子だった殿下に魅了され、初恋を実らせる形で1947年11月に結婚したのは有名な話だ。そして、チャールズ皇太子とアン王女が生まれた。ところが1952年2月、女王の父で国王のジョージ6世が56歳の若さで死去したことから状況は一変した。
女王が25歳で即位し英国君主になったことで、夫婦間にも公私のけじめをつけなければならない事案が多々生まれた。また、注目を集める妻の陰で殿下の鬱屈は増したという。そんな2人が確執を乗り越え、和解した“愛の証”がアンドリュー王子だといわれている。
女王は“愛の証”であるアンドリュー王子がかわいくて仕方がなかった。英国では「女王の最愛の子どもはアンドリュー王子」という話が広く知られている。ところがそんな“溺愛”が、結果的に王子をダメにしてしまったのかもしれない。
常に国民の模範 英王室が支持される理由とは
王子の問題はエプスタイン容疑者との親交だけではない。例えば6年前の2016年には、プライベートジェットの頻繁な利用や、ウィンザー城からロンドン南部へヘリコプターで休日のゴルフに向かう贅沢至極のライフスタイルが取り沙汰された。
この時にインタビューを受けた王子は、「一体どこが贅沢至極のライフスタイルなのか?」と逆に質問した。「公費でプラベートジェットに乗り、休日のゴルフにヘリコプターを使用するような生活です」とインタビュアーに改めて指摘されると、まるで被害者のような困惑の表情を浮かべた。そして、「それは私の時間を最大限に有効利用するためだ。しかも(プラベートジェットやヘリコプターの利用は)私の決定ではない」と答えた。
こうした態度や返答は、今回の一件を通じて王子の性格を語る上で最大のキーワードとなっている“傲慢”を、ひときわ明確にクローズアップするものの一つだといえる。また、英国王室に対する一般的な国民感情を考慮すると、“ロイヤル落第”とみなさざるを得ない発言だろう。
無論、英国民の中には王室反対派も多くいる。この国には今も貴族が存在し、その一部は裕福な地主であり一般労働者とは貧富の差が激しい。「ノブレス・オブリージュ(高い地位や財産の維持には義務が伴うことの意)」という言葉が示す通り、雇用創出や福祉などの奉仕は特権階級の義務とされているが、“持つ者と持たざる者”の差が明確な階級社会は色濃く残っており、今も富豪が存在する貴族階級の頂点に王室がある。
そのため、真の平等を目指すには王室を廃止し、君主を民主的に決める共和国制にすべきという意見が、この国では常にどこかでくすぶっている。だからこそ、ロイヤルファミリーは生まれながらの“公人”として、私利私欲を捨て、個人的な利益を追求することなく、慈善事業のみを営み、生涯をかけて恵まれない人たちのために働き、国民の模範となる存在であり続けなければならない。
その一方で、生まれた瞬間から大衆の視線に囲まれて暮らす王室生活は、「金魚鉢の中の金魚」に例えられる。ロイヤルファミリーのメンバーには、常に世界中の好奇の目にさらされながら生きるという過酷な一面があるのだ。しかも己を捨て、一生をチャリティに捧げるからこそ国民は王室を尊敬し、莫大な富と特権を許し、支持もする。