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漫画

アニメーターの配偶者 “今時の作品を観られない”理由とは 1万人が驚愕の「職業病」

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部

外で道行く人たちの歩き方を分析 まだまだあるタッペイさんの職業病

 アニメーターと漫画家。ともにものづくりを職業とする2人の結婚生活とはどのようなものなのでしょうか? 見原さんに今回の漫画を執筆したきっかけや普段について詳しい話を伺いました。

Q. 今回の漫画を描こうと思った理由を教えてください。
「アニメーターをしている夫が面白くて定期的に観察エッセイ漫画をツイッターに投稿しているのですが、今回の話も『タッペイのここが面白い』と思っていたことの一つで漫画にしてみました」

Q. テレビを観ている時以外だと、タッペイさんの職業病はどのような時に出ていますか?
「アニメーターは人間の構造を知らないとアニメーションでキャラクターを自然に動かせないのだそうです。そのため日常的に観察が欠かせないのだと思いますが、夫の場合は外で道行く人たちの歩き方のクセをすぐ分析します。

 足の運び、手の振り、頭の動きなどは人それぞれ違うようで、『あの人は頭がすごく動く』『あの人はO脚気味』『あの人は猫背』など独り言のようにつぶやいています。以前、タッペイが何百メートルも離れた場所から私を見つけたことがあり、『服装や髪型で気付いてくれたんだな』と感心していたら『歩く時のおしりの動かし方で分かった』と想像を超える答えが返ってきて驚いた記憶があります」

Q. 逆に見原さんの職業病に対して、タッペイさんからはどのようなフォローがありますか?
「私の場合、ストライクゾーンド真ん中の作品に出会った時の症状が特にひどく、感情移入による感動や個人的感想、作り手側の分析など多方面にエンジンがフル回転します。そして厄介なことに、この気持ちを誰かと共有して一から整頓したがります。

 普通の人は突然そんな熱量でぶつかってこられてはたまったものではないでしょう。ですが夫は、私との間に多少の温度差はあっても、タッペイなりにものづくり視点で受け止めてくれるので、私にはそれがとてもありがたいです」

Q. お互いがクリエイターで良かったと思うことを教えてください。
「表現や演出に関して悩んだ時は相談に乗ってくれるので頼もしいですね。逆に夫から技術的なことで相談を受けることはあまりありませんが、アニメの仕事が思うように行かない時は私が話し相手になります。アニメの専門的なことは分かりませんが、どうやれば絵でうまくお客さんに伝えられるかというのはお互い永遠のテーマでもあるので、耳を傾けることはできます」

Q. ものづくりをする夫婦として、普段どのようなことを大切にして過ごしていますか?
「仕事に関しては『ここは干渉してほしくない』というラインがお互いぼや~っと分かっているので、そこには踏み入らないようにしています。近づきすぎず遠ざかりすぎず、一番居心地の良い距離感を一緒に探しながら暮らしているような感じです」

Q. 大きな反響を呼びましたが、読者からの感想で心に残ったものや感想を読んで気が付いたことなどがあれば教えてください。
「今回はアニメーターの職業病がテーマですが、音楽関係や声のお仕事、映像関係などさまざまな分野の方々から『分かる』と共感の声をたくさんいただけたのが驚きでした。皆さんそれぞれのお仕事特有の職業病体験を寄せてくださり、とても興味深かったです。

 どんな分野であろうと好きを生業にした人間には『作る幸せとつらさ』があり、この表裏一体の思いを抱えて、自分自身と戦ってできている世界がたくさんあるんだなぁと改めて気付かされました」

 見原さんが描くタッペイさんのお話は、アニメ雑誌「月刊ニュータイプ」(KADOKAWA刊)でも読むことができます。コラム+エッセイ漫画「見原由真の五畳半アニメーター録」というタイトルでの連載です。これからも夫婦円満で素敵なものづくりを続けていただきたいですね。

(Hint-Pot編集部)