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節税しつつ老後資金を蓄えるには 税理士・板倉京が個人型確定拠出年金「iDeCo」を解説
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年金受給額2年連続引き下げなどのニュースを受けて、老後に漠然とした不安を抱いている方は多いでしょう。少しでも上手に貯める方法はないものか。そこで、税理士の板倉京(いたくら・みやこ)さんが豊富な実務経験を基に、老後資金の不安に備えるためのさまざまな解決術をレクチャーします。多数のメディア出演経験や著書を持ち、2社の代表も務める板倉さんの連載第6回。今回は、個人型確定拠出年金の「iDeCo(イデコ)」についてです。
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10年で300万円の積み立てが500万円以上に 90万円の節税
前回は、税金をかけずに資産形成をする方法として、「つみたてNISA」を紹介しました。続く今回は、節税しながら老後の年金を増やす超おすすめの方法「iDeCo(イデコ)」をご紹介します。
簡単にいうと、iDeCoは自分で作る私的年金です。一般的に「年金」と呼ばれているのは公的年金(厚生年金や国民年金など)のこと。これらは保険料を国に払って運用を任せていますが、iDeCoは自分自身で運用をしていきます。
これは私的な見解ですが、iDeCoは公的年金よりも良い仕組みだと思っています。公的年金の制度は頻繁に変わりますし、早くに亡くなると払った保険料分さえ受け取れない可能性だってあるからです。
対してiDeCoは、自分で払った掛け金を自分の口座で運用します。そのため、仮に受け取る前に亡くなっても、口座の中にある金額はすべて家族が受け取れるのです。しかも、つみたてNISAと同じく運用益には税金がかかりません。ネットなどで、今いくらになっているのか手軽に確認することもできます。
私自身も、約10年前からiDeCoで積み立てをしています。毎月2万5000円を積み立てているので入金額は約300万円ですが、現在の資産額は500万円以上になりました。これだけ増やすことができたのは、iDeCoが「ドルコスト平均法」で資産を運用しているから。これはつみたてNISAと似ていますが、違いはiDeCoなら投資額が「所得控除」できるという点です。
所得控除とは、各納税者の個人的な事情を加味して税負担を調整する制度。控除が増えれば税金が安くなります。私の場合は、毎年30万円ほど積み立てたiDeCoへの投資額が全額控除されたおかげで、年間約9万円の節税になりました。10年ほど続けているので、これだけで90万円の節税になります。300万円の投資に対して90万円の節税です。これだけの節税効果があれば、仮に運用があまりうまくいかなくても「怖くはない」といえるかもしれません。