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節税しつつ老後資金を蓄えるには 税理士・板倉京が個人型確定拠出年金「iDeCo」を解説

公開日:  /  更新日:

著者:板倉 京

iDecoを始める前に 4つの制約とは

多数のメディア出演経験や著書を持ち、2社の代表を務める税理士の板倉さん【写真提供:板倉京】
多数のメディア出演経験や著書を持ち、2社の代表を務める税理士の板倉さん【写真提供:板倉京】

「そんなに良い制度なら今すぐ始めたい!」と思った方に、お伝えしたいことがあります。iDeCoには下記の制約があるのです。

○iDeCoの制約
1. 受け取れるのは早くて60歳以降
 iDeCoはそもそも老後資金を作るための公的制度です。そのため、受け取れるのは早くて60歳以降になります。若い人にはこの点が好まれないようですが、「ドルコスト平均法」を使った資産形成は、時間をかければかけるほど有利。若いうちからできる範囲で始めるといいと思います。

2. 掛け金に上限がある
 iDeCoの掛け金は、サラリーマンで月額5000円~2万3000円、自営業者は月額5000円~6万8000円までです。

3. 加入できるのは基本60歳まで
 現在、iDeCoの積み立てができるのは基本的に60歳までです。しかし、2022年5月以降は制度が改正され、60歳以上の会社員や公務員、国民年金に任意加入者として加入している方などは、65歳まで積み立てることができるようになります。

4. 受け取る時に税金がかかる可能性がある
 iDeCoには「年金」「一時金」「年金と一時金の組み合わせ」という3種類の受け取り方があります。「年金」で受け取ると公的年金などと合わせて「雑所得」として取り扱われ、「一時金」として一括で受け取ると退職金扱いになり、税金がかかる可能性があります。

つみたてNISAとiDeCo 向いている人は?

 それでは、つみたてNISAとiDeCoどっちがいいのかをまとめてみましょう。

○「つみたてNISA」に向いている人
・専業主婦などで所得税がかからない(少ない)ため、元々節税メリットのない人
・60歳以上の人

○「iDeCo」に向いている人
・所得税を払っている人
・60歳まで引き出せなくても大丈夫な人
・老後資金を貯めたい人

○「つみたてNISA」と「iDeCo」の併用が向いている人
・「つみたてNISA」と「iDeCo」の両方に、毎月積み立てられる金銭的な余裕がある人
・「iDeCo」で所得税の節税をしながら老後資金を貯めつつ、中期的な資産形成は「つみたてNISA」でと考えている人

 大切なのは「自身の現状を見極め、先を見据えて賢く動く」ことです。それが豊かな将来につながります。また、積立投資は長く続けるほどリスクが少なくなり、リターンが期待できるでしょう。思い立ったが吉日でぜひ第一歩を踏み出してみてほしいと思います。

(板倉 京)

板倉 京(いたくら・みやこ)

1966年10月19日、東京都生まれ。神奈川県内で育ち、成城大学文芸学部マスコミュニケーション学科卒。保険会社勤務後に結婚。29歳で税理士資格試験の受験を決意し、32歳で合格する。36歳での長男出産を経て、38歳で独立。主な得意分野は、相続、税金、不動産、保険。テレビでは「あさイチ」「首都圏ネットワーク」(ともにNHK)、「大下容子ワイド!スクランブル」(テレビ朝日系)、ラジオでは「生島ヒロシのおはよう一直線」(TBSラジオ)などに出演して解説。主な著書は「夫に読ませたくない相続の教科書」(文春新書)、「相続はつらいよ」(光文社知恵の森文庫)、「女性が税理士になって成功する法」(アニモ出版)、「知らないと大損する! 定年前後のお金の正解」(ダイヤモンド社)など多数。