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【2023年】「青春」はなぜ“青い春”なのか? 4月の二十四節気「清明」「穀雨」で知る四季
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4月の和風月名を「卯月(うづき)」といいます。“ウヅキの花が咲く頃”の意味からその呼び名が付いたとか。ちなみに、豆腐を作る工程でできる「おから」が「卯の花」と呼ばれる由来は、花と似ていることだそうです。また、古くより日本人が季節を感じる目安としてきた二十四節気でみると、4月は「清明(せいめい)」と「穀雨(こくう)」を迎え、本格的な春が到来する頃です。その意味やしきたり、また約5日で移ろう七十二候の自然のリズムをご紹介しましょう。
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万物が清らかで生き生きとしている「清明」
二十四節気とは季節の移ろいの目安を知るために、太陽の動きに合わせて一年を24に分けた暦のこと。「清明」は二十四節気で5番目にあたる節気で、2023年は4月5日からです。清明は「清浄明潔(しょうじょうめいけつ)」の略で、春の暖かな日差しに包まれ、万物が清らかで生き生きとしている季節を意味します。
また、この季節に東南から吹く風を「清明風」といいます。冷たい北風から変わり、春の到来を知らせる穏やかな風です。
古くからこの季節には、野山へ出かけて春の青草を満喫する習慣がありました。春の野遊びという意味で、このことを「踏青(とうせい)」と呼びます。古来中国の陰陽五行説に基づき、春の色は青と考えられてきました。陰陽五行説では、自然界に存在するものが5つの要素(木、火、土、金、水)に分けられ、それぞれ季節と色が決まっています。木は春で青、土は合間で黄、火は夏で赤、金は秋で白、水は冬で黒です。「青春」とは、活力あふれる清明の季節を反映した言葉とみられています。まさに“人生の春”です。
また沖縄では、清明の時期に先祖供養の「清明祭(シーミー)」が行われます。お天気が良い日に墓の掃除やお供えをし、墓前で縁者や親戚が宴会をするというものです。中国から伝わった風習で、子孫が仲良くにぎやかに過ごすことで供養になると考えられてきました。
ツバメが訪れ、ガンが帰っていく季節
一年を24に分けた二十四節気を、その節気(約15日)ごとで3つ(約5日)に分けた時期が七十二候です。七十二候では古くから伝わる日本特有の自然のリズムを感じることができます。清明にあたる七十二候は次の通りです。
○「清明」(4月5日頃から)
初候:玄鳥至(つばめきたる)4月5日頃
次候:鴻雁北(こうがんかえる)4月10日頃
末候:虹始見(にじはじめてあらわる)4月15日頃
冬の間は暖かい地方で過ごしていたツバメが海を渡って日本にやってくる一方、日本で冬を過ごしたガンは北へ帰っていきます。冬の時期に乾いていた空気も次第に潤い、美しい虹が現れ始めるのもこの季節です。
「ツバメが低く飛ぶと雨が降る」とのことわざもあります。空気中の湿気が多くなるとツバメのエサになる虫は羽根が重くなり、低く飛ぶようになるので、ツバメも合わせて低空飛行するためだそうです。
太陽の光が空気中の水滴に反射して起こる現象が虹です。春の虹は淡く、すぐに消えてしまいますが、春雷を伴うにわか雨の後に浮かび上がってきます。虹の漢字がむしへんである理由には諸説ありますが、古来中国では虹を“大きなヘビ”とみなしたからといわれています。この時期は農作業も開始される頃です。