「五輪でも泣かなかった母」が見せた涙

　宇野選手は2018-2019年シーズン後、それまで指導を受けていた樋口美穂子コーチの元を離れて新たな道を歩み始めました。しかし、メインコーチ不在の影響もあったのか、グランプリシリーズなどの国際大会では結果を残せず。全日本選手権で4連覇こそ達成しましたが、その後のコロナ禍で調整もままならなかったことに加え、足首の負傷などもあり、心身ともに苦しい時期を過ごしてきました。

　そんな姿を間近で見てきたのが母の純子さんや弟の樹さん、そして宇野家で元気に生活する愛犬たちでした。今回の世界選手権は日本の自宅でテレビ観戦。優勝が決まった翌日、樹さんはYouTubeチャンネル「Uno1ワン チャンネル」で「世界選手権一夜明け」と題した動画を公開しました。

　動画はまず、宇野選手の演技を見守ったトイプードルの「トロ」ちゃんの映像からスタート。画面越しに映る宇野選手をじっくり見ている様子が伝わってきます。そして場面は切り替わり、生中継が終わった後と思われる朝の屋外へ。純子さんが愛犬たちを抱きかかえながら椅子に座り、顔をうずめるようにして涙を流しているように見えます。

　映像内のキャプションには「オリンピックでも泣かなかった母」。その様子を撮影した樹さんは「しばらくそっとしよう」との言葉を添えました。純子さんは何度も何度も愛犬たちを抱きしめ、最後は宇野選手がかわいがっている「Emma」ちゃんにキス。動画内の音声はBGMだけで純子さんの肉声などは入っていませんが、うれしさだけではないさまざまな感情が込められているのが分かります。

　この動画には約8000件の“いいね”が集まり、動画の再生回数は12万回を超えました。コメント欄には「わんちゃんたちを抱きしめて泣いてるママさんの姿に感動しました」「涙腺が崩壊状態」「もらい泣きしました」「こんなに幸せな夜明けはないですね」といった、涙があふれるメッセージの数々。「ご家族のそばにわんちゃんがいて良かった」「トロちゃんとEmmaちゃんも何かを感じたのでは」と愛犬たちの姿に触れる言葉も寄せられています。

　2019年から師事していたステファン・ランビエールコーチとの二人三脚で掴んだ世界選手権の金メダル。激動の今シーズンを終えた宇野選手はまだまだ伸びしろを感じさせてくれるだけに、来シーズン以降の活躍も期待できそうです。

（Hint-Pot編集部）