漫画
発達障害とうつ病を抱えた女性 希望に満ちたトルコ旅行記に感謝の声「仲間に出会えたみたい」
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念願だった異国の地で重ねた小さな成功体験
どうにかこうにか準備を終え、始まったトルコ旅行。出だしは良好でした。そして、念願のトプカプ宮殿に感動し、市場では値下げ交渉。ホテルでは部屋の奇音の対処をお願いしたり、1人で紙の地図を頼りに近所のモスクを訪れてみたりと、日本では体験できないようなことに次々と挑戦していきます。
日本で失敗の連続に苦しみ後ろ向きになっていたくさかべさんの心は、トルコでのこの成功体験で徐々に回復していきました。そして旅程を終える頃には自然に、そして強く、こう思えるようになったのです。
「生きたい」
その後、帰国したくさかべさんはその時のパワーをもとに、ただ走るように生きたといいます。
けれども、人はいつまでも全力疾走を続けることはできません。そして、再びつまずいてしまいました。そこでくさかべさんはもう一度、自分の心に問いかけます。「死ぬ前にやりたいことはあったかな」と。コロナ禍で旅行は無理。そんな今できることは……。
くさかべさんが、漫画を描き始めたきっかけも綴られたこのエピソード。リプライ(返信)には、「こんな素敵な話を漫画に描いてくれてありがとうございます。私、生きてて良かった」「何だか仲間に出会えたみたいでうれしい漫画でした。ありがとうございます」「生きづらさや困りを感じながらしっかり生きている漫画に勇気をもらいました。ありがとうございます」など、たくさんの共感や感謝の声が寄せられました。
「同じように苦しんでる方がたくさんいる」
くさかべさんに旅行の詳細や現在同じように悩んでいる人たちへの思いを伺いました。
Q. トルコ旅行に行ったのはいつですか?
「トルコに行ったのは10年前になります。このタイミングで漫画にしたのは、3年前に会社をクビになり、今ようやく立ち直りつつあること。そして、コロナ禍で自由に旅行できないため、心のリハビリがてら何かできないかと思い描くことにしました」
Q. トルコ旅行は何泊何日でしたか? また、プランで一番こだわった点は?
「確か4泊5日だったと思います。こだわったのは、好きな漫画のモデルになったトプカプ宮殿に行くことです。とにかく漫画の雰囲気を味わいたい一心で、もうトプカプ宮殿を見られれば後はいいや……ぐらいの気持ちでした。実際のところ、英語がしゃべれなかったので、観光は極力しない方向でした。ネガティブですね!(笑)」
Q. 漫画に描いた以外にも心に残っている旅行中の出来事は?
「観光2日目にお腹を壊してしまって……。ホテルの屋上で海を見ながら、日本から持ってきたカップうどんを食べた思い出があります」
Q. トルコ旅行以前に海外旅行へ1人で行ったことは?
「海外に1人では行ったことはありませんが、国内の一人旅なら京都へよく行きます。普段の旅行は2、3人で行くことが多いですね」
Q. 読者からの心に残った感想は?
「漫画を読んで『生きてみようと思った』という感想を多くもらい、誰かの明日につながるきっかけになったのなら、こんなにうれしいことはなかなかありません。『自分のことのように思う』という感想も多かったです。同じように苦しんでいる方がたくさんいらっしゃるんですね……」
Q. 現在、悩んでいる人に向けてメッセージをお願いします。
「死にたいほど苦しんでいる時って、本当にそれ以外のことを考えられなくなります。『死ぬ前にやりたいこと何かないかな?』って考えるなど、一瞬でも気をそらしてください」
Q. 漫画を描くようになって変化したことは?
「変化というか気付きなんですが、世の中には苦しんでいる人がたくさんいるなと思いました。傷付いた石ころみたいな作品を応援してくださる方がたくさんいることに驚き、漫画を通じて1人ではないのだなと感じています」
漫画の仕事も随時募集中だというくさかべさん。気分が落ち込んだり眠れない夜もあったりしますが、それでも時にはじっくりと休みながら、新しい挑戦は続いていきます。
(Hint-Pot編集部)