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「辞めるなら今しか」 有名企業を退職してプロ映画監督に 安田真奈監督のタフな経歴

公開日:  /  更新日:

著者:関口 裕子

気負わないイーブンな関係の結婚という選択

 結婚は1999年、『オーライ』を撮る前です。当時は「結婚」というイベントを軽く見ていたので、サクッと決めました。学生時代から付き合って、約9年も経っていたので。

 私も相手もとてもマイペース。だからゆるく細く長く素麺のように続き、結婚できたのだと思います(笑)。恋愛ってやっぱり両者のバランスが合っていないと難しいので。どちらも、めちゃくちゃモテるとか、色気があるタイプでもなく、浮気をすることも横道にそれることもなく、メールが一般的じゃない時代に「今月会ったっけな?」くらいの距離感。それがよかったのかもしれません。

 彼は大学の同級生なので、映画を撮ることに関しては私がめっちゃ徹夜するとか、ずっと作業しているとかよく知っています。だから、普通なら眉をひそめるところかもしれませんが、それでケンカになったことは一度もありません。昔、「暴走機関車みたいだ」と言われたことはありますけど(笑)。

最新作『あした、授業参観いくから。』のワンシーン
最新作『あした、授業参観いくから。』のワンシーン

 働き方については、もしも彼が「結婚したらずっと家にいて家事をやってほしい」というタイプなら難しかったでしょう。在宅仕事の多い私が主に家事をやっていますが、彼も休日には料理などをします。私は毎日の料理を「とにかく時短で!」と考えますが、彼にとって料理は休日の気分転換。楽しんでキチンと作ろうとします。

 仕事や趣味では、お互いの世界に不可侵。彼は映画製作についてとやかく言いませんし、私も彼の趣味について何も言いません。お互いのプライベートなエリアや好きなことには干渉しないようにしています。

<後編に続く>

『あした、授業参観いくから。』4月16日(土)から新宿K’s cinemaで上映

(関口 裕子)

関口 裕子(せきぐち・ゆうこ)

映画ジャーナリスト。「キネマ旬報」取締役編集長、米エンターテインメントビジネス紙「VARIETY」の日本版「バラエティ・ジャパン」編集長などを歴任。現在はフリーランス。