仕事・人生
かき氷有名専門店は“氷の神様”とのご縁で 導かれた女性のキャリア遍歴は「思いつくまま」
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数年前にブームが巻き起こった「かき氷」。通年で提供する専門店の増加や、“進化形”と呼ばれる独創的なスタイルの登場など、今や通年の定番スイーツになりつつあります。また削った氷にお好みのフレーバーをかけるというシンプルさゆえに、作り手の思いがダイレクトに表現されるようです。さまざまな分野で活躍する女性たちの人生を紐解く連載「私のビハインドストーリー」。今回は氷室神社(奈良県奈良市)との運命的な出会いから、かき氷専門店「kakigoriほうせき箱」をオープンした岡田桂子さんの前編をお届けします。
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「kakigoriほうせき箱」という店名に込められた想い
こんもり色鮮やかなフワフワ氷の上に、ベレー帽のように乗った泡状クリーム。岡田さんが生み出すかき氷は見ているだけで心がウキウキする、まるで1つのアート作品のようです。「ほうせき箱」という店名はそうした輝くかき氷たちが由来かと思いきや、実はとても素敵なエピソードが元になっていました。
「奈良で『ほうせき』は『おやつ』を意味するんですね。氷室神社の宮司さんが子どもの頃、おばあさんが氷砂糖や黒砂糖が入った茶筒を持ってきて、カランカランと鳴らしながら『ほうせきやろか』とおやつをもらったという思い出を教えてくださったのです。美しい言葉ですし、素朴なおやつを皆さんに楽しんでいただきたいというお店のコンセプトとも合うので、『ほうせき箱』と名付けました」
かき氷といえば、夏の風物詩になるほど日本で長く愛されるおやつ。岡田さんにも、子どもの頃によく食べた思い出のかき氷があるそうです。
「実家で母がいつも作ってくれたのは、細長くカットしたスイカを敷き、その上に氷を削ってミゾレと練乳をかけるかき氷。また、牛乳と卵、お砂糖、練乳、そしてたっぷりの氷をミキサーでかき混ぜたシャリシャリのミルクセーキも思い出の味です」
今では全国各地からかき氷好きが訪れる人気店になった「ほうせき箱」ですが、2015年の開店までの道のりは「流れるまま思いつくままに来た感じですね」と微笑みます。