10年かけて環境を整備した飼い主さん　名前にもたくさんの思いが

　そんないちろうたくんが飼い主さんのもとへやってきたのは2021年の冬でした。柴犬との暮らしに憧れていた飼い主さんは、いちろうたくんをお迎えするまで何と10年をかけたそう。住居や車を買い替えるなど万全な状態で柴犬を迎え入れられるよう、環境を整えていきました。

「10年の月日はかかりましたが、飼い主の責任として可能な限り環境を整えて臨みました。そして、お迎えしたい子を決めてブリーダーさんのもとへ。こちらに向かってヨタヨタと歩いてきたいちろうたを抱っこしたら、一発で情が移ってしまいお迎えを決めました」

　また、いちろうたくんの名前にも強い思いが。いろいろなところからヒントを得て、元気にたくましく育ってくれるよう願いを込めたそうです。

「好きな漫画の一つに、楳図かずお先生の『神の左手悪魔の右手』という作品があります。それに出てくる『三郎太』という少年からヒントをもらいました。三郎太は子どもながらに忍耐強く献身的なキャラクター。そんな彼のような子であってほしいという願いを込めました」

　しかし、その三郎太は不遇のキャラクターでもあったため、「悪い存在に見つからぬよう、あえて子どもに縁起が悪かったり、奇妙な名前を付けたりするタイやアイヌの風習からも知恵を借りました」とのこと。実はこの名前も10年前に決めていたそうです。

　そんな飼い主さんの思いはしっかりと届けられ、元気にたくましく成長中のいちろうたくん。お迎え当初は笑顔すら見せてくれなかったそうですが、今では人が大好きな甘えん坊になりました。にっこり笑顔をはじめ、さまざまな表情で飼い主さん家族を和ませてくれているそうですよ。

○取材協力：ジト目の柴犬いちろうた（@ichirouta2021）さん

（Hint-Pot編集部）