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ビールの価格が30年で約4倍に 物価高のオーストラリア 在住邦人が感じる肌感覚とは

著者:守屋 太郎

オーストラリアの最大都市シドニー。経済成長に伴い、物価も上昇している【写真:守屋太郎】
オーストラリアの最大都市シドニー。経済成長に伴い、物価も上昇している【写真:守屋太郎】

「コロナとの共生」に舵を切り、外国人を積極的に受け入れているオーストラリア。街には旅行者の姿も目立つなど、コロナ禍前の活気を取り戻しつつあるようです。豊かな生活環境に恵まれた同国は、日本人のワーキングホリデーメーカーや留学生に人気の滞在先である一方、生活費が高いという難点も。現地在住ジャーナリストの守屋太郎さんが同国で暮らすためのノウハウなどを解説するこの連載。今回は「なぜオーストラリアの物価が日本と比べて高いのか」についてです。

 ◇ ◇ ◇

オーストラリアだけが物価高ではない 日本の低インフレに原因が

 前回のコラムでは「オーストラリアの生活費が高い」というお話をしました。今回はその理由について考えていきましょう。

グラフ1:物価上昇率の推移【作成:守屋太郎】
グラフ1:物価上昇率の推移【作成:守屋太郎】

 結論から言うと、オーストラリアの物価が日本と比べて高い原因は「日本でデフレ(物価の低下)、または非常に低いインフレ(物価の上昇)が長年続いたこと」にあります。グラフ1を見ると、先進国の中で特にオーストラリアの物価が上昇しているわけではなく、日本の物価だけが上がっていないことが分かります。

 バブル崩壊後の約30年間、日本が年間でデフレ(消費者物価指数が前年比マイナス)に陥ったのは12回。特に2008年のリーマンショックや2020年のコロナ感染拡大の時、物価は大幅に下落しました。一方、オーストラリアや先進諸国(平均値)の物価も、そうした経済危機時に落ち込みましたが、一度もデフレにはなっていません。

 最近、日本でもエネルギー高騰や円安の進行を背景に、物価高が心配されています。しかし、バブル崩壊以降約30年間という長い時間軸で見ると、日本の物価はほとんど上がっていないのです。

 一方、オーストラリアでは、物価は安定して上昇してきました。前回のコラムで紹介した「塩サバ定食1700円」という点だけを切り取ると「物価高」という印象ですが、異常な狂乱物価に悩まされているわけではありません。オーストラリア準備銀行(中央銀行)によると、1991年に100豪ドルだった物は2021年には201.48豪ドルに。30年間で物価は約2倍になりましたが、年間平均のインフレ率は2.4%とゆるやかな上昇にとどまっています。

30年間で価格が約4倍になったパブのビール【写真:守屋太郎】
30年間で価格が約4倍になったパブのビール【写真:守屋太郎】

 実際にはテレビやパソコン、携帯電話といった耐久消費財が技術革新によって安くなった一方、肌感覚では飲食費や身の回り品などの価格が30年で3倍くらい上がった印象です。物にもよりますが、例えば1990年代の初め、シドニーのパブの生ビールは1杯(425ミリリットル)2豪ドル前後(当時のレートで概ね200円)。「日本の居酒屋と比べると安いなあ」と思いましたが、現在は3~4倍になっています。

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