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花瓶の水を飲むだけでも中毒に!? 農家が教えるあまり知られていない身近な有毒植物

公開日:  /  更新日:

著者:こばやし なつみ

ヒガンバナは田んぼのモグラ除けに? 毒を利用した祖先たち

 最後に、昔からその土地で生き続けている多年草であり、有毒な草花の代表格として注意したいヒガンバナについて。ヒガンバナはその名の通り、秋のお彼岸の頃に花を咲かせます。北海道や東北を除く日本全国の土手、道端や民家でもよく見かけますが、有毒なことはあまり知られていません。

9月頃に艶やかな赤い花を咲かせる。強くそり返った花が特徴的(写真はイメージ)【写真:写真AC】
9月頃に艶やかな赤い花を咲かせる。強くそり返った花が特徴的(写真はイメージ)【写真:写真AC】

 昔の人々がヒガンバナを植えた目的の一つは、田んぼの畔を崩すモグラ除けのためだったという説があるそうです。確かに、原木シイタケを育てている我が家の裏山には、モグラが掘ったであろう穴がボコボコあり、これでは田んぼの水があらゆる箇所からだだ漏れになってしまうだろうと想像できます。

 そこにヒガンバナを植えた先代は、有毒性を知った上のことだったでしょう。しかし、時を経て今、そうした特性や経緯を知らない私や子どもたちが手に取ることには、危険も潜んでいます。

 採取が許可されている野山から花や山菜を家に持ち帰り、飾ったり食べたりすることは、自然がくれる暮らしの小さな楽しみですよね。だからこそ、害や危険性なども知った上で、生活に取り入れることが大切だと実感します。

 コロナ禍3年目の初夏。近場の公園はもちろん、森や山へ出かける人が今年も多いと思われます。知らない草花を手に取る前に、一度立ち止まってスマートフォンや図鑑などで調べてみましょう。自身の安全を守るとともに、自然の新しい一面に触れる手助けになると思います。

【参考】
※1東京都福祉保健局「食品衛生の窓」間違えやすい有毒植物
https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/shokuhin/dokusou/index.html
厚生労働省「自然族のリスクプロファイル」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/syokuchu/poison/index.html
消費者庁「家庭菜園等における有毒植物による食中毒に御注意ください」
https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_safety/release/pdf/160413kouhyou_1.pdf
農林水産省「知らない野草、山菜は採らない、食べない!」
https://www.maff.go.jp/j/syouan/nouan/rinsanbutsu/natural_toxins.htm
【消費者向けパンフレット】有毒な植物と食べられる植物間違えないように気をつけて!(国立医薬品食品衛生研究所安全情報部)
http://www.nihs.go.jp/dsi/section_s3/toxins/toxicplantsA4.pdf
「人もペットも気をつけたい 園芸有毒植物図鑑」土橋豊(淡交社)

(こばやし なつみ)

こばやし なつみ

半農半フリーランスPRプランナー。2009年に大学卒業後、東京のPR会社に就職。PRプランナーとして勤務後、14年に独立。同年、茨城県・水戸の兼業農家へ嫁ぐ。16年9月に茨城県立農業大学校いばらき営農塾(野菜入門コース)を修了、同11月に第1子を出産。現在は少量多品種(年間約30~40種)の野菜を義両親と共に作り、販売する傍ら、平日は執筆、意識調査の設計・分析等の仕事もこなしている。