仕事・人生
きっかけは夫が買ってきた1冊の本 元パン屋さんがキャットシッターになった理由
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モフモフの毛並みにツンデレな態度。空前の猫ブームが続く中、猫と一緒に暮らす人も増えています。心の癒やしとなる存在だけに、旅行や出張で長期間留守にしなければならない時、少しでも猫が快適に過ごせる選択肢について頭を悩ませることも多いのでは。そんな家庭をサポートするのが、キャットシッター「たまはな」代表の岩崎華枝さんです(※「崎」はたつざき)。さまざまな分野で活躍する女性たちにスポットライトを当て、その人生を紐解く連載「私のビハインドストーリー」。前編では岩崎さんの人生を変えた猫と本、そして人との出会いについてお話を伺いました。
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東京での生活に息苦しさを感じて…海のある街・南房総市に移住
現在、自然豊かな千葉・南房総市でキャットシッターとして活躍する岩崎さん。東京で9年間、配偶者とパン店を営んでいましたが、2014年に移住しました。「夫の作るフランスパンが最高においしかったんですよ」と目尻を下げる一方で、東京での生活に息苦しさを感じていたと語ります。夫婦の実家がある東京に近く、海のある街に住みたいと候補地をめぐり、3年かけて出会ったのが南房総でした。
岩崎さんがキャットシッター「たまはな」を開業したのは、移住から4年経った2018年のこと。そこに至るまでの道のりは、不思議な縁でつながっています。
白猫ぽんさんとの出会いからつながった「縁」
岩崎さんが初めて猫と一緒に暮らすようになったのは2005年。パン店の裏にいた元気のない白猫を保護しました。それが「ぽんさん」です。一緒に暮らし始めたものの、猫についての知識はゼロ。そんな時、配偶者が「猫と暮らせば」(小学館文庫)という本を購入しました。
著者の南里秀子さんは、日本のキャットシッターとして草分け的な存在。1冊の本にギュッと詰まった“猫と幸せに暮らすためのヒント”に感銘を受けた岩崎さんは、南里さんがセミナーを開催していると知り、参加してみることに。それでも当時は「猫のことを知りたいだけで、シッターになるつもりはありませんでした」と振り返ります。
その後、ぽんさんと黒猫の「ひめ」ちゃんを連れて、南房総へ移住した岩崎さん夫妻。そこでは、助けが必要な猫が1匹、また1匹と暮らすようになります。一方で南里さんが開くさまざまなセミナーに参加する中で、まさかのニュースが飛び込んできました。南里さんがキャットシッターから引退し、キャットシッター育成講座も終了するというのです。
「興味があったので、シッターになってもならなくてもいいから、とりあえず受けてみようと思いました」
当時の南里さんは東京と和歌山に拠点を置いていたため、岩崎さんは講義参加のために和歌山まで出向くことも。猫に関する知識はもちろん、直接的には猫に関係ないように見えても、人としての深みや感受性を増す言葉や本に関する講義もあり、およそ1年をかけて終了したそうです。
さまざまな角度から猫や人にアプローチする講座を終える頃には「キャットシッターになりたい」と思うように。「気持ちが盛り上がっていたので」と岩崎さんは笑います。講座を卒業すると起業準備を始め、2018年7月に開業。現在は南房総市と鴨川市、館山市、鋸南町を中心にして、「お留守番をする猫が快適に過ごせるお手伝いをする」ことをモットーに活動しています。