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仕事・人生

元準ミス日本の医師 親から子への結果主義押し付けに警鐘 「イップスになる可能性も」

公開日:  /  更新日:

著者:柳田 通斉

親友が摂食障害で不登校に…「自分が治したい」

友人の病がきっかけで医師を志すように【写真:荒川祐史】
友人の病がきっかけで医師を志すように【写真:荒川祐史】

「高校1年生の時に親友が突然、不登校になりました。最初のうちは電話をして『寂しいから学校に来てよ』と伝えていましたが、しばらくして彼女が摂食障害だと知りました。体がどんどん細くなるのに、私と顔を合わせている時でも菓子パン8個を一気に食べるなどしていました。そうして話を聞いているうちに、病んだ原因が両親の不仲だと分かり、私は『精神科医になって彼女を治したい』という思いを抱きました」

 両親は文系でしたが、木村さんは「大の物理好き」。その利点を生かしながら医学部の受験対策に取り組んだそうです。とはいえ、入試は超難関。高校3年生の12月、私立大学の推薦入試を受けるも不合格になりました。

「この時点で父が『現役では合格は無理っぽい』と判断し、私を『ミス日本』にエントリーしました。医学部入試は面接試験もあるので、一浪後の面接を見据えて試験官にインパクトを与える作戦です。父は面白いことを考えましたが、私が運良く現役合格したため、大学1年生での準ミス選出に至りました」

 木村さんは準ミス選出をきっかけに芸能活動を開始しましたが、大学では勉強に追われる日々。「いつも再試と留年の恐怖に苛まれていました」と当時を振り返ります。それでも6年間で単位を取得し、卒業前には医師国家試験に合格。研修医になり、所属していた芸能事務所は退所しました。

「研修医としての2年間で心臓外科医への関心も高くなりましたが、やはり精神科医を選びました。研修医期間を終えた頃は女医ブームで、芸能活動再開のお誘いはありましたが、何よりも医師として実績を上げたいと思いました。そして、日本ではまだ一般的ではなかったスポーツメンタルに臨床医師として携わりたい、小学生の頃から大好きなサッカー界の役に立ちたいと考え、動き始めました」

 最初に携わったのは、スペイン1部リーグのレアル・マドリードが公認するレアル・マドリード・ファンデーション・フットボールアカデミー(現レアル・マドリード・ファンデーション・フットボールスクール)。木村さんは東京と埼玉、神奈川、愛知でスクールを運営する同アカデミーを皮切りに、スポーツに取り組む子どもたちとの対話を続けています。