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タワマンって結局どうなの? 駐車場など意外なデメリットも存在 不動産のプロが解説
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教えてくれた人:姉帯 裕樹
車と携帯電話、エレベーター…デメリットもしっかりと見極めて
高層階に暮らすという貴重な体験。帰宅するのが楽しくなる生活も予想できますが、やはり不便なことも存在しています。
姉帯さんとは対照的に、タワマンのデメリットを指摘するのは都内で10年以上にわたって不動産業を営むCさん。長い経験の中で痛感したという「あるある」を教えてくれました。
「まずは、平置駐車場の数が少ないので、大型の車を停められないことですね。立体駐車場でも停められる小さな車に買い替えたとしても、車を出すのに時間がかかることもあります。これはやはり、世帯数の多さによるもの。高層になればなるほど住戸が増えるため、通勤時間帯には何台かやり過ごさなければいけないほどエレベーターが混雑する場合もあります」
また、大半のタワマンでは窓が開けられないこともデメリットの一つ。上の階ほど携帯電話の電波が届きにくくなる場合もあるそうで、「そうした面をサポートしている物件を選ぶ必要がある」とCさんは語ります。さらには大規模修繕についても考えておくべきでしょう。タワマン以外でも修繕積立金を支払うマンションがほとんどですが、タワマンの場合は状況が異なるそうです。
「大規模修繕工事は10~12年の周期で行うことが通常ですので、2008年~2012年頃のタワマン建築ラッシュ時に建てられたものはそろそろ始まる時期です。建物の規模が大きければ大きいほど、そしてデザイン性が高ければ高いほど、修繕のための時間とお金がかかります。特にお金問題は大きく、コロナ禍で建築資材が手に入りにくくなっていることもあって、修繕費用の高騰は避けられないかもしれません」
またタワマンに限らず、マンションは上層階ほど価格が上がるもの。低層なら大きな差ではありませんが、タワマンの低層階と高層階ではやや事情が異なる場合もあるようです。
「タワマンの低層階と高層階では、住居者のプライドという面で差があるという見方も。エレベーターで高層階の人たちに忖度しなければならないといった“暗黙の了解”が存在するタワマンもある……とメディアでは報じられたりしますよね。いわゆる『マウント合戦』だと感じるような話を、住んでいる方からも聞くことがあります」
あれこれ考えると、購入より賃貸という意見にもうなずけるものがあります。周囲を一望できる部屋での暮らしには、やっぱり憧れますよね。実現のためにはまず、メリットとデメリットをしっかりと考慮することから始めてみましょう。
(和栗 恵)
姉帯 裕樹(あねたい・ひろき)
「株式会社ジュネクス」代表取締役。宅地建物取引士の資格を持ち、不動産取り扱い経験は20年以上を数える。独立した現在は目黒区中目黒で不動産の賃貸、売買、管理を扱う「コレカライフ不動産」として営業中。趣味はおいしいラーメンの食べ歩き。