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給与水準が高いオーストラリア 超円安時代に“出稼ぎ”は可能? 専門家の意見とは
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ワーキングホリデー(ワーホリ)旅行者や留学生も条件付きで就労できるオーストラリアは、海外生活が気軽に体験できる国。物価が高く生活費はかかりますが、給与水準も高いことから、まとまったお金を貯められる可能性もあるようです。現地在住ジャーナリストの守屋太郎さんが同国で暮らすためのノウハウなどを解説するこの連載。今回は、日本人のワーホリ旅行者・留学生の仕事事情に精通した専門家から詳しいお話を伺いました。
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英語力がなくても特殊な資格やスキルは強みになる
前回のコラムで、給与水準が高いオーストラリアではワーホリ旅行者や留学生でも「月30万円以上稼げる可能性がある」という話をしたところ、「給料も高いけど物価も高い」といったご意見を多数いただきました。オーストラリアの高い物価水準とその理由については、第3回と第4回のコラムで解説しています。
さて、平均的な日本人のワーホリ旅行者や留学生は、実際にどれくらい稼いでいるのでしょうか。シドニーで語学学校やホームステイ先の紹介、農場の有給インターンシップ運営などの事業を手がける「クー・オーストラリア」代表取締役・藤原愛彦さんは、平均的な稼ぎは1か月あたり3000豪ドル(約26万8500円)と解説します。
「職種や経験によって異なりますが、一般的なワーホリ旅行者や留学生の仕事の大半を占める日本食レストランや回転寿司店、ラーメン店などのホールスタッフやキッチンハンド(調理補助)などでは、最低時給(20.33豪ドル=約1800円)。週40時間程度働いた場合、1週間あたり750豪ドル(約6万7000円)、1か月あたり3000豪ドルくらいの稼ぎが平均的でしょう」
ただ、「なかなか思い通りの仕事が見つからない」という人も少なくないようです。しかし、英語が苦手でも特殊なスキルが役に立つケースも。
「例えば、美容師や調理人、ドッグトリマー、システムエンジニア、セラピスト、看護師といった専門分野の技能を持っていれば、多少英語力が劣っていても技術でカバーできる強みがあります」
実際、オーストラリアの日本食レストラン業界では、日本で職務経験のあるシェフや寿司職人が慢性的に不足。一般的に手先が器用で細かい作業が得意とされる日本人は、ビューティーサロン、ドッグトリマー、マッサージなどの業界でも需要が高いようです。
就労ビザや永住ビザの取得は、スキルに加えて英語力も必要になってきますので簡単ではありません。しかし、ワーホリ旅行者や留学生が即戦力として活躍するには、日本で事前にそうした専門職で実務経験を積んでおくと有利になるかもしれません。