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【私の家族】元女子プロ野球選手が第2の人生へ 現役時代から溺愛する愛猫は「本当に大きな存在」

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部・西村 綾乃

実家には3匹の保護猫 今後はTNR活動の存在を広めたい

 加藤さんの実家では、3匹のねこを飼っています。2018年、雨の日にひとりぼっちで寝ていた「みかん」ちゃん(現在は推定4歳)を、加藤さんのお母さんが保護。その翌年には、口の形が変形しているためなのか、長い間ペットショップに置き去りにされていた「レモン」くん(現在は4歳)を迎えていました。さらに今年の2月には、野良猫だった「ぽんかん」くん(推定10か月)も仲間入りしています。

「ぽんかんは、みかんと同じように家の近くで生まれた猫。人懐っこくてよく遊びに来ていたそうです。元々は3匹でいたのですが、1匹が車に轢かれて命を落としてしまって。それを知った母が『2匹とも保護する』と連れてきました。もう1匹は今、知人の家で暮らしています」

 ゆづるくんを迎えてから、猫について調べるようになったと語る加藤さん。

「心身をリセットしてくれるゆづ(ゆづるくん)が心地よく過ごせるように、どんな食べ物が好きか、日常の中にある危険はどんなことかなど、いろいろと勉強するようになりました。私にとっては、存在してくれることが癒やしです。今は6歳なので、健康管理が最優先ですね」

現在は6歳のゆづるくん。体重は9キロ【写真提供:加藤優】
現在は6歳のゆづるくん。体重は9キロ【写真提供:加藤優】

 最年長のゆづるくんが大好きなみかんちゃん、そんなみかんちゃんが大好きなレモンくんなど、猫たちのやりとりに吹き出すこともあるそう。そうして幸せに暮らす一方で、保護された猫が殺処分されている数や、虐待によって命を落とす猫の存在がいることに愕然としたと語ります。

「野良猫の現状を伝えるテレビ番組の中で『TNR』(T=TRAP、N=NEUTER、R=RETURNの略)の活動を知りました。TNRとは、捕獲器を使って野良猫を捕まえ、不幸な猫が増えないように不妊去勢手術をしてから、暮らしていた地域に戻すこと。神奈川県は助成金も出しているのですが、TNRという言葉を知らない人も多い。私もこの活動の一役を担えればと考えているので、SNSなどで理解を深めてもらえるよう、伝えていきたいです」

 TNRを支援する取り組みの一つとして、6月に開校する女子向けの野球塾「Sunny Catchball」の収益の一部を活動資金に充てる予定です。

「選手時代は、“美しすぎる女子プロ野球選手”と広報活動など表舞台に出る機会が多くありました。リーグが注目されることにもつながるので、とてもありがたいことでしたが、成績が振るわない時期でも表に出なくてはいけないことは、選手として悩む要因にもなりました。女性が野球をするということについて、私が子どもの頃はやりにくさはありましたが、少しずつ変わっていってくれることを願っています。

 私が代表を務める野球塾は、小学校1年生から6年生までの女の子が対象で、コーチ陣もすべて女性です。野球を始めたいという女の子が、野球ができる環境を整えて、継続することができる環境を作ります。秦野市が『女子野球タウン』として認知されるよう頑張っていきたいですね」

◇加藤優(かとう・ゆう)
1995年5月15日、神奈川県秦野市生まれ。実業家。少年野球チームの監督をしていた父の影響で5歳から野球を始める。2015年に女子プロ野球の合同トライアウトテストに合格。「埼玉アストライア」に入団し、2016年4月の開幕戦でデビュー。2018年と2019年のシーズンは打率3割以上をマークした。また、この両シーズンでは日本女子プロ野球機構が開催する「美女9総選挙」で1位になるなど、その容姿も注目の的に。66試合に出場した2019年、ベストナインの外野手部門でタイトル表彰されたが、惜しくも退団を選んだ。2021年7月に女性初の「はだのふるさと大使」に就任。地元に根差した活動に力を入れている。

(Hint-Pot編集部・西村 綾乃)