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家猫の脱走防止グッズ 網戸がないドイツの場合は? 現地サッカー記者の猫飼い日記

公開日:  /  更新日:

著者:島崎 英純

ドイツは市内中心部でも緑が多く、春になると一気に木々が色付きます【写真:島崎英純】
ドイツは市内中心部でも緑が多く、春になると一気に木々が色付きます【写真:島崎英純】

 2018年からドイツを拠点に活動するサッカーライターであり、大の猫好きでもある島崎英純さん。「海外で猫を飼う」というチャレンジをお届けするこの連載では、そのプロセスをリポートしています。4回目の今回は、猫との共生に欠かすことができない“脱出防止策”について。ドイツの住宅事情に関係したメジャーな商品の存在が判明しました。

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夏の気配が漂い始めたドイツ 新緑の美しい季節が到来

 僕の住むドイツ・フランクフルトは快適な気候になってきました。

 日本には四季があって、それぞれの季節に風情がありますよね。僕は趣があるどの季節も好きなのですが、特に季節が移り変わる春や秋、空気が変わったと感じられる時季に心を動かされます。

 ドイツにも四季の概念はありますが、体感的にはくっきりと季節が移り変わります。というよりも、季節の変わり目の時期は寒暖差が激しい。氷点下の翌日に20度超えする日もあって体調管理が大変だと感じます。

 それでも5月も半ばを過ぎると明確に春、もしくは夏の気配が漂い始めます。それまではどんよりとした分厚い雲が覆っていた空が鮮やかな青へと色彩を変え、陽気に誘われた住人たちが街中のテラスで楽しく談笑する姿が見られるようになります。

 冬の色が白やグレーだとすれば、春から初夏にかけては新緑。人々も心躍るような気持ちになるのでしょう。ドイツにはそんな“潮目”があるように思うのです。

暖かくなると“虫問題”が発生も人々は平気

 さわやかな風がそよぐ季節になれば当然、家の窓を開放して芳しい空気を取り込みたいですよね。ただし、この時期のドイツには新たな問題が発生します。それはハエやハチなどといった虫たちの登場です。

 ドイツでは大抵4月から11月にかけて各種の虫が発生するのですが、彼ら(彼女ら)はかなり堂々と室内に侵入してきます。その理由の一つとして、ドイツの一般的な住居に網戸がない点が挙げられるでしょう。

 ドイツの方々は基本的に虫の存在を気にしません。レストランやカフェのテラスでは皆さん、ハチがブンブンと飛び交う中で優雅にお茶やコーヒーを召し上がっています。デザートにケーキなどを食べようものなら高確率でハチがすり寄ってきますが、それでもこちらの方々は虫たちを邪険に扱わず、平然と振る舞います。

 実はドイツではスズメバチなどの特定のハチを許可なく駆除することが禁じられていて、州ごとに罰金を科す規定があります。ハチは花の受粉を介して植物などの生育を維持することに貢献しているなどの観点で、生態学的に動物愛護法の対象になっているからです。

 僕の住むフランクフルトが属するヘッセン州では、ハチを無許可で駆除すると罰金は最大5000ユーロ(約68万円)! 特定種では何と最大5万ユーロ(約680万円)になります。「僕、知らなかったんです……」と懇願しても当局に発見されれば問答無用で罰金を科せられるそうです。うへー、恐ろしい……。

 ちなみに、たとえハチが家で巣作りしても、基本的には撤去できないそうです。突如の事態でハチ様たちと共生しなければならないなんて、考えただけで身の毛がよだちます。

 ドイツでは無許可でハチを駆除してはいけない。だからドイツの方々は虫に気を留めない。ここまでは分かります。ただし、気に留めないから網戸も付けないという流れはどうにも腑に落ちません。せめて家にお邪魔してくるハチ様にはご遠慮いただくべく、ガード策を講じてもいいんじゃないのと……。