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深刻な粉ミルク不足に陥った米国 自腹を切って母乳寄付を続ける母親に称賛の声
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米国で未曾有の品薄状態が続いている粉ミルク。赤ちゃんを育てる家庭にとってはもちろん深刻な状況で、社会問題にもなっている。そんな中で注目集めているのは、毎月92ドル(約1万2000円)の自腹を切って自身の母乳を寄付している母親。人情味ある行動として話題を呼んでいる。
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毎月約1万2000円を支払ってでも母乳ドナーを続けるソッティーレさん
米国が深刻な粉ミルク不足に陥った背景には、大手粉ミルクメーカー「アボット・ニュートリション」のミシガン州にある工場が操業を停止したことがある。同工場で生産された粉ミルクを摂取した乳児2人が細菌感染で死亡したことを受け、米食品医薬品局(FDA)は1月下旬から3月中旬まで検査を実施。併せて同社は2月、製品3種類のリコールと同工場の操業停止を発表していた。
現地時間5月16日の時点で同社は、操業再開についてFDAとの間で合意に達したと発表しているが、全米の店舗では現在も品薄状態が続いている。
米メディア「インサイダー」は、こうした状況の中、サンフランシスコ在住で2児を持つニュースプロデューサーのキアラ・ソッティーレさんの粋な計らいを伝えた。記事は「未曾有の粉ミルク不足による影響で、新生児が必要な栄養を摂れるようにと思いやりのある母親が搾乳費用を支払うという重大な決断をした」と、その行動を称えている。
ソッティーレさんには生後1歳1か月になる息子がおり、数か月前に卒乳しようと思っていた矢先、今回の粉ミルク不足が発生。その状況に心を痛め、母乳を寄付するに至ったという。ところが、レンタルをしている搾乳機には保険が適応されない。そこでソッティーレさんは、毎月92ドル(約1万2000円)を自腹で支払っているという。
「私は自腹で母乳のドナーを続けています。元々は息子に授乳していたのですが、この国が見舞われた未曾有の状況で、やめてしまっていいのかと思い立ちました。粉ミルク不足で、親が赤ちゃんに代わりにエバミルク(無糖練乳)をあげるのを見るのはつらいので」とソッティーレさんは心境を語っている。