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“求められる女性像”を演じてきた高橋惠子さん 俳優の“還暦”まであと8年の今思うこと

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部・西村 綾乃

家族が広がっていくのは幼い頃からの願い

幼い頃に兄を失くした経験が。家族への思いを語る【写真:西村綾乃】
幼い頃に兄を失くした経験が。家族への思いを語る【写真:西村綾乃】

 コロナ禍には知り合いの「死」も経験しました。

「この世を卒業してあの世に行くことは、誰でも一度は経験すること。私自身が確信しているのは、肉体は滅んでも魂は生きているということです。私はもう何百回も人として生まれ変わり、何千年も生きてきたと思っています。この世は素敵な場所と思いますが、次に生まれ変わる時は木か花になって穏やかに世界を見つめたいですね」

「命が尽きる最期の日まで、素晴らしい地球をしっかり味わいたい」という思いには、3歳の時に、脳性まひで夭折した兄への誓いも込められています。

「兄は13歳の時に、天国に旅立ちました。その後、私は大人になり結婚して、一男一女に恵まれて……。独立した子どもたちにも子どもができました。家族が広がっていくことは、幼い頃からの願いでもありました。私には兄弟ゲンカをした経験はありませんが、子どもたちを見ていると、意見をぶつけ合える相手がいることはありがたいことと感じます」

時代に求められる女性像を演じてきた今思うこと

 15歳でデビューして52年、全力で走り続けてきた高橋さん。俳優としての“還暦”を迎えるまでのあと8年間は、「こうあるべき」という固定観念を取り払った女性でいたいと願っています。

「私は子どもを持つという選択をしましたが、社会で活躍する女性が増えた今、結婚をしない人、結婚をしてもパートナーと2人だけの人生を歩まれる方もいらっしゃいますよね。一度しかない人生。他人と比較をすることなく胸を張って生きてほしいと思います。どの選択も素晴らしいことだから。

 私は俳優として、その時代に求められる女性像を演じることが多かったと感じています。固定観念の中で束縛され、自分を押し殺す女性を演じたこともありました。今の時代は、『こうでなければいけない』ということは、昔に比べて少なくなってきたように思います。親からや学校で教わったことを一度忘れて、自分がどうしたいのか心に問いかければ答えは見つかるはず。

 私自身は、15歳からずっと全力で走り続けていたので、もう求められる姿で在り続けることから解放されたい。52年間、走ってきた自分に『よく頑張ったね』と背中を撫でてあげたいんです。思いっきり無邪気な役をやって、自分を癒やしたいです」

◇高橋惠子(たかはし・けいこ)
1955年1月22日、北海道生まれ。俳優。中学時代に地元の写真館でスカウトされ、70年に「大映」入社。同年に映画『高校生ブルース』でデビューした。同年公開の『おさな妻』ではゴールデン・アロー賞新人賞を受賞。ドラマ「太陽にほえろ!」(日本テレビ系)など多くの作品に出演するなど、テレビや映画、舞台などで活躍している。出演を予定している舞台『黄昏』はアーネスト・トンプソン原作の戯曲で、世界20か国以上で上演されてきた名作。米国のメイン州を舞台に、湖畔の別荘でひと夏を過ごすためにやってきた老夫婦とその家族を描いている。
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(Hint-Pot編集部・西村 綾乃)