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香港の有名海上レストランが切ない“船出” 新たなオーナーが見つからず衝撃の移転発表

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部

毎年平均の保守費用は数千万円 香港長官は公的資金の注入を否定

 それから現在までの2年間、船は深湾に浮かんだまま第2の人生ならぬ“船生”の幕開きを待っていた。しかし5月30日、「ジャンボ」の運営企業は声明を発表。昨年末にオーシャンパークから新たな第三者機関を見つけられなかった旨の通知を受けたことと「ジャンボ」の移転を明らかにした。

 さらに、同店はコロナ禍前の13年から業績不振に陥っており、さらにコロナ禍が追い討ちとなって損失が1億香港ドル(約16億円)を超えたため休業に至ったとしている。

「ジャンボ」が浮かぶ深湾は香港仔避風塘(アバディーン台風シェルター)の一部【写真:Getty Images】
「ジャンボ」が浮かぶ深湾は香港仔避風塘(アバディーン台風シェルター)の一部【写真:Getty Images】

 またしても消滅の危機!? と、ファンが再び動揺する展開となったが、ここはかろうじてご安心を。移転の理由は、3年ごとに必要な船の大規模検査とメンテナンスが、費用負担などの面から現在の香港では実施できないため。今後はコストの削減に努め、新たな運営団体を引き続き探す予定だ。

 昨年は多数の企業や機関と無料寄贈の交渉を行ったが、高額な運営費用がネックになったという。ライセンスやその他の要件を満たすためには、船の検査と修理、保守に毎年平均で数百万香港ドル(数千万円)が必要。維持を続ける運営企業や株主にとって大きな財政的負担になっているが、船が香港を離れることで軽減できるそうだ。

 また、前述の施政方針演説で「ジャンボ」の件を持ち出したラム長官だったが、31日朝には運営に公的資金を充てる予定はないとコメント。一方で民主党(香港)の党首は、「ジャンボ」保護のために当局の介入を求めており、政界でも論争を呼ぶかもしれない。

 いずれにせよ、「ジャンボ」が香港を離れることは決定事項。香港の一時代を彩った超有名レストランは、2022年にさすらいの船出を経験することになった。果たしてどのような形で移動するのか? 移転先はどこなのか? この先に新たな運営団体は見つかるのか? ファンは「ジャンボ」が安住の地にたどり着けることを、心から祈っている。

(Hint-Pot編集部)