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栄養メリットが高い魚のアユ 養殖ものにたっぷり含まれている注目の栄養素とは?

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部

教えてくれた人:和漢 歩実

天然と養殖で栄養素の違いは? たんぱく質が多いのは天然

塩焼きが定番(写真はイメージ)【写真:写真AC】
塩焼きが定番(写真はイメージ)【写真:写真AC】

 スーパーマーケットなどの店頭に並ぶのは養殖ものが多いようです。栄養素の面で天然ものと違いはあるのでしょうか? 主な栄養について、日本食品標準成分表2020年版(八訂)を基に可食部100グラムあたりの焼いたアユで見てみましょう。ちなみにアユ1尾は、中サイズで約60グラムが目安です。

○エネルギー
天然:149キロカロリー
養殖:202キロカロリー

○たんぱく質
天然:26.6グラム
養殖:22.6グラム

○脂質
天然:6.8グラム
養殖:15.1グラム

 以上から、たんぱく質は天然の方が、脂質は養殖の方が多いと言えます。また魚の脂質は、脳の活性化や血栓予防、中性脂肪の減少に期待できるオメガ3脂肪酸のDHA(ドコサヘキサエン酸)とEPA(エイコサペンタエン酸)を多く含むことが特徴です。

養殖にたっぷり含まれている注目すべき栄養とは

 続いて、この他の栄養素を見てみましょう。

○レチノール(ビタミンA)
天然:120マイクログラム
養殖:480マイクログラム

○カルシウム
天然:480ミリグラム
養殖:450ミリグラム

○カリウム
天然:510ミリグラム
養殖:430ミリグラム

 カルシウムやカリウムは天然の方が多いですが、レチノール(ビタミンA)は、養殖の方が4倍多く含まれていることが分かります。レチノールは、目や皮膚の粘膜を強くすることで知られる以外に、コラーゲンの生成を促進する働きも期待されている成分です。最近は美肌効果につながる成分として「レチノール配合」と表記されたコスメが人気なことも、注目の高さを表しているでしょう。

 もちろん健やかな美しさを支える基盤は、バランスの良い食事と規則正しい生活です。そこでもっと気にしたい人は、レチノールが豊富なアユの内臓も食べて、内部からも美しさを目指すのも良いかもしれません。旬でおいしい季節、ぜひ食卓に取り入れてみましょう。

(Hint-Pot編集部)

和漢 歩実(わかん・ゆみ)

栄養士、家庭科教諭、栄養薬膳士。公立高校の教諭として27年間、教壇に立つ。現在はフリーの立場で講師として食品学などを教える。現代栄養と古来の薬膳の知恵を取り入れた健やかな食生活を提唱。食を通して笑顔になる人を増やす活動に力を注いでいる。
ブログ:和漢歩実のおいしい栄養塾