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からだ・美容

頭が臭う気がする…医師が教える原因と対処法 梅雨は頭皮臭に要注意

公開日:  /  更新日:

著者:岩淵 美樹

教えてくれた人:辻 晋作

大人だけじゃない! 子どもの頭皮臭、どう対処すべき?(写真はイメージ)【写真:写真AC】
大人だけじゃない! 子どもの頭皮臭、どう対処すべき?(写真はイメージ)【写真:写真AC】

 ジメジメ、ムシムシする不快な季節がやってきました。高温多湿になりがちなこの時期は、肌のべたつきや髪の広がり、頭皮の蒸れなど美容面でも悩みが尽きません。毎日洗っているのに、「私の頭、臭うかも!?」と気になってしまいますよね。健康、美容の疑問を辻晋作医師が解説する連載の第7回は頭皮の臭い対策についてです。大人だけでなく、子どもの頭皮臭についても伺いました。

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皮脂と汗の分泌量が多い頭部 皮脂の酸化や湿気による雑菌の繁殖で臭いが発生

 気温や湿度が高くなると、じっとしているだけでも汗が出てきますね。前回、子どもは思春期を迎えるまで汗をかく能力が未熟というお話をしましたが、頭は他の部位に比べ汗をかくことが多い場所です。外で遊んでいると髪の毛がびっしょり濡れていることがよくあると思います。

 頭皮にある汗腺はエクリン腺で、ほぼ水分なのでさらさらとした汗です。臭いのもととなる物質はほとんど含まれていませんので、汗をかいただけでは不快な臭いは発生しません。

 臭いの原因は、皮脂や汚れにあります。特に頭皮は顔よりも皮脂腺が多く、汗腺も手のひら、足の裏に次いで多い場所です。しかし、皮脂がまったくないと髪はバサバサになり、頭皮も乾燥してしまいます。分泌された皮脂と汗が混ざり合うことで頭皮に広がり、乾燥から守ってくれるのです。

 頭皮にとって必要なものではあるのですが、過剰に分泌された皮脂と汗を常在菌が分解し、臭いを発生させます。また、皮脂の酸化も臭いのもとです。

 梅雨は高温多湿で菌の繁殖が盛んになる季節です。頭皮は髪の毛があるため普段から蒸れやすいのですが、湿気でさらに蒸れて雑菌が増えてしまいます。この時期は皮脂と汗の分泌量も盛んになりますので、大人も子どもも頭が臭いやすくなっています。

生活習慣の乱れや加齢によって臭いも変化 脂っこい食事は控えて

 思春期を迎える前の子どもの汗の臭いはそれほど強くないというお話も前回しました。では、大人はどうでしょうか。30代以降になるとミドル脂臭、加齢臭といわれ、特に男性は気にされている方が多いようです。しかし、臭い発生のメカニズムに性差はありません。男性ほどではありませんが女性でもミドル脂臭や加齢臭は発生します。

 ミドル脂臭は汗に含まれる乳酸が皮膚の上で分解され、ジアセチルという臭いの成分が発生し、古い油のような臭いがします。乳酸は疲労物質ともいわれ、疲れが溜まっている時に出る物質です。仕事や家事、育児で忙しい世代は注意が必要です。

 加齢臭も脂っぽい臭いがします。これは、皮脂に含まれるパルミトレイン酸が酸化し、ノネナールという臭いのもととなる物質が発生するからです。パルミトレイン酸は年齢を重ねると増加する物質なので、残念ながらゼロにすることはできません。ミドル脂臭と加齢臭は汗と皮脂が原因ですので、分泌が盛んな頭、首の後ろ、背中は臭いが発生しやすくなっています。

 原因物質の発生を止めることは難しいのですが、過剰に増やさないようにすることはできます。ミドル脂臭は疲れを溜めないこと、お風呂に入ってしっかりと汗を出すことで臭いを抑えることができます。加齢臭は脂質の酸化によるものなので、脂質が多い食べ物を摂りすぎないことが大切です。

 40代以降は生活習慣病も気になる年代です。脂っこい食事に偏らず、野菜や海藻など食物繊維も積極的に摂るようにしましょう。また、乳酸菌を摂り、腸内環境を整えることも臭いの予防になります。