どうぶつ
誕生後5日で天国に行った子犬 100頭以上の出産に立ち会った訓練士が語る「命の尊さ」
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教えてくれた人:稲垣 芳人
「動物愛護管理法」のきちんとした知識を持つ大切さ
誕生から2週間ほどすると、子犬たちの目が開き、耳も聞こえるようになります。動きは変わらずですが、お乳に向かっていく姿には力強さが備わる時期です。少しずつ遊び始める時期でもあり、生後3週を過ぎると歩き回り始める子犬も出てきます。
出産直後を除き1か月くらいは母犬がほとんどのお世話をするので、飼い主にはそれほどやることがありません。けれども生後4週を過ぎて離乳食が始まると、てんてこ舞いの生活が始まります。
ミルクからフードに切り替えていくため、何頭もいる子犬たちにふやかしたフードを与える必要があります。また、体が小さいと排泄が頻繁になるため、それを掃除したり。いたずらしないように見守ることも重要で、とにかく作業量が増えます。ここで失敗すると、食に興味がなくなることもあるので注意深く観察しましょう。
生後6週を過ぎると、親が一緒にいるのを嫌がるようになるので、少しずつ離す練習をします。そして56日以降には、寂しくて鳴くこともありますが、完全に親から離れる巣立ちの時を迎えるのです。
ここで、動物をお迎えする側としても覚えておいていただきたいのは、生後56日以下の子犬の譲渡が「動物愛護管理法」で禁止されているということです。悪質なブリーダーやペットショップでは、誕生日を改ざんし、未熟な状態で売りに出してしまうことがあるといいます。もちろんそうした悪質な行為をしているのは一部です。インターネットで情報を集めたり、実際に子犬を見学しに行ったりしてきちんと判断し、安心できるブリーダーを選ぶようにしましょう。
また、知らないうちに法律違反を犯していないかも注意が必要です。最近ではインターネットオークションやフリマアプリなどが普及していますが、普通の飼い主さんが対価をもらって譲ることは禁止されています。動物を貸したり預かったりする際も同様の注意が必要です。「第一種動物取扱業者」として登録していない人が金品に限らず何らかの対価を得れば無登録営業とみなされ、100万円以下の罰金が科せられる可能性があります。
前回と今回の話から、犬の出産は決して安産ではないということと命の大切さ、犬を育てることの大変さを分かっていただけるとうれしいです。命を迎えるという責任を心に刻み、正しいしつけと愛情を犬に与えてあげてください。そして飼った以上は、愛犬の命が尽きるまで、責任を持って見届けてあげてくださいね。
(和栗 恵)