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非常口の“緑の人”が危険!? 3次元に脱出させたユーモラスな作品に4万人が仰天「エグい」
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昨年の東京五輪・パラリンピックで大きな話題を集めたピクトグラム。どんな競技か分かりやすく示す“絵ことば”の奥深さを、世界に改めて知らしめました。ピクトグラムが使用されているポピュラーな標識といえば、非常口を表す誘導灯でしょう。人が扉から脱出する姿を端的にとらえたサインは、あらゆる場所で目にしますよね。その表示から、もし本当に人が飛び出してきたら……そんなユーモアあふれるアート作品がSNS上をにぎわせています。制作者の松枝悠希(@matsueda_yuki)さんに詳しいお話を伺いました。
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非常口に駆け込むピクトグラムを見て「脱出させてあげなきゃ!」
出口に向かって人が走っている様子を表した非常口のサイン。実はこの標識にピクトグラムを採用したのは日本が最初で、それまで漢字や記号だけだったものから置き換えられるようになりました。火災や煙の中でも判別しやすい緑色をベースにし、誰もが分かりやすいピクトグラムを使うことで、今では世界でも採用されている重要なサインの一つです。
2次元の表示ですが、今にも人が走り出しそうな躍動感。幼少期にあのポーズを真似した人もいるでしょう。しかしアーティストとして活動する松枝さんは、そこから人が飛び出している立体的な絵画を制作しました。このアイデアを思いついたのは2010年、グループ展に出品する作品を考えていた時だったそうです。
「そのグループ展は『in the Dark』というテーマが設定されていました。暗闇の中で展示を行うという少し変わった展示コンセプトです。新作のアイデアを考えながら暗い場所を歩いていたところ、昼でも夜でも点灯している非常口サインに目がいきました。
そこで、緑色の人物が閉じ込められているように見えたのです。非常口を示す役割を担うサインですが、2次元に閉じ込められたままでは彼が危険。3次元の世界に脱出させよう……そんな気持ちで作品にしました」
今回の作品にはアクリルとPET(ポリエチレンテレフタレート)樹脂を使用。緑色の部分はパネルに絵の具で彩色しました。試行錯誤の末、ピクトグラムに描かれた人が絵から飛び出したようなアート作品が完成しましたが、制作にはなかなかの苦労があったようで……。
「やはりこだわったのは透明部分です。何度も伸ばし直して、納得のいく形ができるまでやります。樹脂の板は一度伸ばすと使用できなくなるので、一発勝負。後は“頑張った感”が出ないよう、きれいに仕上げました」
この作品に「非常口の絵描いたよ。これから搬入向かいます!」と一文を添えてツイッターで公開すると大きな反響を呼び、集まった“いいね”は4万件を突破。リプライ(返信)には「かわいい」「めちゃくちゃ面白い作品」「エグいくらいに飛び出してきそう」といった称賛の声だけでなく、「これ普通に非常口立体的に視認できて利便性高いよな」といった機能性の高さに感心する声も寄せられています。