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競馬界の“二刀流”の礎を築いた最強馬の今 美しい馬体にファン感動 「今でも歴代最強」

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部・瀬谷 宏

おやつや青草を食べて元気いっぱい いたずら好きも相変わらず!?

放牧地でのんびり過ごすタイキシャトル【写真提供:ノーザンレイク】
放牧地でのんびり過ごすタイキシャトル【写真提供:ノーザンレイク】

 現役時の圧倒的な走りが評価され、1999年にはJRAの顕彰馬(殿堂入り)に選出されたタイキシャトル。佐々木さんに現在の日課や日々の様子などを伺いました。

「現在は午前7時半頃から放牧に出て、午後3時前後には厩舎に戻っています。その後にお手入れをして夕飼い(カイバと呼ばれる食事)、午後9時半前後に夜飼いを食べます。夜飼いの後は楽しみなおやつタイムで、ニンジン、リンゴ、黒砂糖などをうれしそうに食べています。

 シャトルは食いしん坊です。他の馬が好まないバナナ、ブドウ(どちらも馬が食べても問題ないそうで、ファンの方が送ってくださいました)も喜んで食べていました。ただそうしたおやつは糖分が多いので、健康を考えて与えすぎには注意しています。

 春になって放牧地の青草を食べるようになったからか、ここ最近は体にハリが出てきたように思います。元々甘噛みする馬でしたが、最近は以前にも増して激しくなり、元気が良いですね」

 ノーザンレイクの代表を務める川越靖幸さんはJRAの元厩務員。かつてはタイキシャトルを管理していた名門厩舎・藤澤和雄厩舎に在籍し、GI優勝馬のゼンノロブロイとゼンノエルシドも担当したそうです。当時の藤澤厩舎でタイキシャトルはエース格でした。

 その姿をすぐそばで見ていた川越さんによると「馬房内で馬体の手入れ中に前脚を伸ばして、シャトルの担当者の足を踏んでいた」とのこと。今も手入れ中などに川越さんの足を踏もうと前脚を伸ばしてくるそうです。その“被害”をまだ受けていないという佐々木さんは「甘噛みも含めて、シャトルにとってはいたずらの一つなのだと思います」と語ります。

「サラブレッドは高貴な生き物。馬たちの誇りも守っていきたい」

一緒に過ごしているメイショウドトウも元気いっぱい【写真提供:ノーザンレイク】
一緒に過ごしているメイショウドトウも元気いっぱい【写真提供:ノーザンレイク】

「競走馬、種牡馬、繁殖牝馬、乗馬などの役割が終わった馬たちにささやかな休息と自由を与えてあげられれば」という川越さんの思いもあり、2020年7月にノーザンレイクがオープンしました。

「柵がありますからすべてにおいて自由ではないのですが、可能な限りの自由を与えてあげたいです。これは僕個人の考えですが、サラブレッドは高貴な生き物だと思っていますので、馬たちの誇りも守っていきたいです」

 7月以降は一般ファンの受け入れも予定していますが、人数制限などを設けるそう。また、佐々木さんは改めて見学マナーの徹底を呼びかけています。

「無断で馬に食べ物を与えないことや、見学者にも馬にも怪我のないことに気を配っています。実は5月の大型連休中、電動自転車に乗った方が牧場に入ってきて馬を見ていたということがあり、見学中止期間でしたので速やかにご退散願いました。牧場見学の際は必ず事前に見学できるかを確認し、見学予約をしてください。当牧場、引退馬協会、競走馬のふるさと案内所の各SNSなどでお知らせいたします」

「未完成な牧場ですが、馬たちが快適に過ごせるよう努力していきます」と語る川越さん、そして佐々木さんの愛情に包まれ、今も幸せなのんびり時間を過ごしているタイキシャトル。これからもまだまだ元気な姿を見せてくれそうです。

(Hint-Pot編集部・瀬谷 宏)