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海外に住めば英語は話せるようになる? オーストラリア在住ライターが語る落とし穴
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日本と変わらない楽な暮らしもできるけど…
日本人が多く住むシドニーなどの大都市では「日豪プレス」や「月刊ジャパラリア」といった紙媒体、「JAMS.TV」や「チアーズ」などのウェブ媒体が日本語で発行され、検索すれば日本語の生活情報がネットでいくらでも出てきます。
「食べ物はどうしても日本食じゃないと嫌だ」という人にも、都市部なら本格的なラーメン店や居酒屋を楽しむことができます。自炊する際も大半の日本食材を手に入れることが可能ですし、日本人になじみ深い「ユニクロ」や「ダイソー」、カラオケ店などもあります。
「水の低きに就くが如し」と言いますが、人も楽な方に流されてしまうもの。ワーホリや留学で渡航すれば、語学学校やアルバイト先ですぐに日本人の友達ができ、日本とほとんど変わらない楽な生活ができてしまいます。それだけに、仮に「英語が話せるようになりたい。国際人になりたい」といった希望を持つ人であれば、心を鬼にして自分を徹底的に日本語環境から遮断し、最低でも数か月間は英語漬けの生活に追い込んだ方が得策でしょう。
ただ、非英語圏出身者が多いバイト先とシェアアコモデーション(滞在先)を往復する生活をしていれば、ワーホリ旅行者や留学生が英語のネイティブスピーカーと深く知り合う接点はなかなかないものです。
それでも少し視点を変えてネイティブスピーカーを探してみてはどうでしょう。日本文化に関心の高い人、自分の得意なスポーツや趣味で価値観を共有できる人など、共通の話題を持てる人を見つけることができれば、英語力向上のステップアップになるかもしれません。
幸い、日本文化や日本食に高い関心を持ち、日本人と話したいと考えている親日的なオーストラリア人はたくさんいます。オーストラリアの日本語学習者数は約40万人(2018年度=国際交流基金調べ)と世界で4番目に多く、日本のアニメや漫画、ゲームなどに子どもの頃から親しんでいる人も少なくありません。
日本とオーストラリアの間には姉妹都市・友好都市関係が107件(在日オーストラリア大使館調べ)も結ばれています。特に地方を旅行すると、交換留学プロブラムなどで日本に行ったことのある人からよく声をかけられ、交流が浸透していることに驚かされます。
次回は、一般的に良好と言われるオーストラリアの治安など生活リスクについて解説します。
(守屋 太郎)
守屋 太郎(もりや・たろう)
1993年に渡豪。シドニーの日本語新聞社「日豪プレス」で記者、編集主幹として、同国の政治経済や2000年シドニー五輪などを取材。2007年より現地調査会社「グローバル・プロモーションズ・オーストラリア」でマーケティング・ディレクター。市場調査や日本企業支援を手がける傍ら、ジャーナリストとして活動中。