からだ・美容
年齢よりも老けて見えてしまうシミ 原因と見分け方は?
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教えてくれた人:辻 晋作
長引くマスク生活はシミを作る原因の一つ。鏡を見る度に、くすんだ肌にため息……という人もいるのではないでしょうか。気になっているけれど、正解がどうも分からないという健康や美容の疑問を、辻晋作医師が解説する連載の第8回は「シミ」。シミといっても実はいくつも種類があり、原因も異なるそう。代表的なシミについて教えていただきました。
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過剰に生成されたメラニンが蓄積した「日光性黒子」
肌は大きく分けて表皮と真皮の二層構造です。肌の外側にある表皮の一番下に、メラニンを作る工場のメラノサイトがあります。
メラニンは肌や髪、瞳の色を作る色素で、黒褐色系のユーメラニンと黄赤色系のフェオメラニンの2種類があります。その割合で肌や髪の色が決まり、皮膚内のユーメラニンが多いと肌は黒く見えるのです。
メラノサイトは紫外線を吸収し細胞を守る働きがあるため、紫外線を浴びるとメラニンを生成します。肌が健康であればターンオーバーによって排出されるのですが、紫外線の浴びすぎや摩擦などの刺激で過剰にメラニンが生成された場合はそれがスムーズに行われず、蓄積されてシミとなって現れます。これがシミのできる大きな原因です。
この“紫外線によるシミ”は「日光性黒子」と呼ばれています。顔だけではなく腕や首、胸元など、日差しをたくさん浴びた場所に現れ、性別は関係ありません。
境界線がはっきりせず閉経後に消える「肝斑」
気にする方が多いのは、「肝斑(かんぱん)」と呼ばれるぼんやりとした薄茶色のシミです。頬骨を中心にだいたい左右対称に現れ、境界線が不明瞭なのが特徴。はっきりとせず広範囲にできるので、肌がくすんだようにも見えます。
肝斑が現れる世代は、20代から閉経を迎える50代前半。閉経後は消えていく傾向にあります。なぜ肝斑ができるのか、はっきりとした原因は分かっていません。ただ、出産などホルモンバランスが変わる際に増える傾向があり、閉経後に消えていくことから、女性ホルモンと関係があるのではといわれています。
また、紫外線が主な原因であることは確か。日差しが当たりやすい頬骨やアゴの周りに現れやすいからです。アゴの周辺は、コンクリートからの照り返しで気づかないうちに紫外線をたくさん浴びているので、忘れずにUVケアをしましょう。
頬骨にできる肝斑は薄くても目立ちますので、隠したくなりますよね。コンシーラーを塗ってカバーする人が多いと思いますが、塗る時は過度な摩擦を与えないようにしてください。化粧パフやスポンジでこすると摩擦が起きて、肌に刺激が加わります。この刺激もメラノサイトを活性化させてメラニン生成を促します。
ですから、マスクでこすれやすい頬骨は肝斑ができやすく、濃くなる可能性も。できるだけ触らないように心がけましょう。