「怒りを正当に表明してもいいんだという気持ちになりました」

　タクシーを利用してトラブルに見舞われた際のヒントが詰まった今回の作品。作者の花森さんに最近のタクシーの変化やタクシー会社に改善してほしいことなど、詳しいお話を伺いました。

Q. 今回の漫画を描こうと思った理由を教えてください。
「タクシーに乗って嫌な経験は他にもしましたけど、このことが一番強く印象に残っていたんです。タクシーを利用するのを戸惑う理由の一つで、長年胸の中でくすぶっておりました。先日利用したタクシーの運転手さんにこの出来事を伝えると、ものすごく怒ってくださって救われたような思いがしたので、漫画にしました」

Q. 最近のタクシーに乗っていて変わったなと感じることは他にありますか？
「子どもに精神障害があり公共交通機関を利用できないので、最近はタクシーをよく利用しています。以前と違うなと思ったことは、女性の運転手さんが増えたことです。息子が首から下げたヘルプマークを見ると、空調や混雑具合、運転速度などに細やかな気配りをしてくれますね。

　あと、男女限らず私たちを『お客様』として扱ってくれるタクシー運転手さんが増えたと思います。上から目線、タメ口で『乗せてやってる』という態度の運転手さんは格段に減ったのではないでしょうか。ただリプライや引用ツイートを見ていると、悲しいことに漫画で描いたような運転手さんはまだまだいらっしゃるようです……」

Q. タクシーカードがあれば、今後困った状況に対処できると感じましたか？
「今までタクシーに乗って嫌な目に遭っても、我慢することが多かったんです。それが当たり前だと思っていました。でも、『同業』で『男性』が怒ってくださったわけです。おかげで、タクシーカードで怒りを正当に表明してもいいんだという気持ちになりました。タクシーカードを手に取る勇気になると思います」

Q. タクシー会社や協会に今後、改善してほしいことが他にもあれば教えてください。
「ここ最近のタクシー運転手さんは良い方ばかりだと感じています。とはいえ、私が利用する時にはいつも息子が同乗しています。息子も成長して今は大きくなったので、男性が同乗していると見られていることで嫌な目に遭っていないだけの可能性も捨てきれません。

　自身の経験や皆さんのコメントから考えると、女性1人でタクシーを利用する時に、容姿や性的な話題に触れる運転手さんに遭遇する確率が高いのではないかと思います。運転手さんにとってはサービス精神かもしれませんが、密室で異性からそういった話をされるのが怖い、不快だと感じる人がいるということを分かっていただきたいと思っています。

　今回の漫画の最後に出てくる運転手さんがおっしゃっている通り、会社所属だとそういった発言や態度に対する講習会があるとのことですが、できれば個人タクシーにもそういった機会があると利用する者としては非常に助かります」

Q. 心に残った読者からの感想があれば教えてください。
「私が今回の漫画に描いたのは10年前の体験ですが、いただいた反応を読んでいると『まだいるんだ……』と驚愕するような体験がたくさんありました……。

　またタクシー運転手をされている方からもお言葉をいただきました。それによると、タクシーカードを取る際に、運転手さんとトラブルになることもあるそうで、『レシートの方が有効かも』とのこと。タクシーカードは苦情を伝えるだけでなく、忘れ物があった際や良い運転手さんに対応していただいた場合のお礼にも利用できるそうです。私も良くしていただいた運転手さんにはお礼以上のお礼を言いたいので、これからはそういう形でもどんどん利用させていただきたいと思います」

（Hint-Pot編集部）