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香港の水上レストランは“沈没”か“転覆”か それでも“沈没エンド不可避”の事情とは

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部

遠洋曳航船の運用企業が語った詳細とは “沈没計画”も明らかに

 この流れと並行して地元メディアは、「ジャンボ」の詳細な状況を探っていた。その手がかりは、香港海域外で「ジャンボ」を曳航した遠洋曳航船の運用企業だ。香港のケーブルテレビ局「有線電視」は、韓国の釜山でこの企業を直撃した。そこで記者は「ジャンボ」の写真を見せられたが、公開は許可されなかったという。

 運用企業の幹部によると、「ジャンボ」には8つの浮力タンクがあり、まずこのうち左の1つが波で破損。船体が老朽化していたため船内に海水が入ったが、この時点では他の7つが無事だった。だが、別のタンクが連鎖的に破損したとみられ、船体の重心が高い構造により最終的には「全体がひっくり返って水に入った」とした。

 また先に香港のニュースサイト「香港01」が報じた「尋常ではない航路」は、他の船と衝突しないように避けていた状況だったと説明した。

 さらに「ジャンボ」が香港にとって大切な存在であることは熟知しているとした上で、香港人ではない乗組員に「沈没を納得させることはできない」などと述べ、“計画的な沈没”疑惑を否定。また、出航前に保険会社が実施した「ジャンボ」と遠洋曳航船の検査は“問題なし”の結果だったと述べた。

 一方で「ジャンボ」救出の可能性は、保険の問題があるとして否定。加えて、ダイバーが他の浮力タンクを破壊するという、船主と保険会社による“沈没計画”を明らかにした。

もし救出するなら費用は約17億円との報道も

「ジャンボ」がたどった不思議な運命に涙【写真:Getty Images】
「ジャンボ」がたどった不思議な運命に涙【写真:Getty Images】

 情報は錯綜しているが、“転覆”ではあるが復活させての航行継続は困難という状況が浮かび上がる。「香港01」は新たな記事で、もし救出するのであれば費用は1億香港ドル(約17億円)という専門家の見積もりを報じた。「ジャンボ」とともに停泊している遠洋曳航船の食料と燃料には当然ながら限界があるという報道もあり、幹部が明かした“沈没計画”が実行される可能性は高いと考えられる。

 ここまでくると、その様子も生中継せねば、香港市民の納得は得られないかもしれない。しかし、現在の香港には7月1日の返還記念日が近づいており、今年は25周年とあって2年半ぶりに習近平国家主席の訪問が決まったという報道もあった。厳戒態勢などを伝える報道も目立ち始めている他、21日に発生した大規模停電などトピックスは多く、「ジャンボ」の一件が陰に隠れてしまう展開は否めない。

 一方で「ジャンボ」の“沈没”が返還記念日の近くになる可能性を考えると、たどった運命の不思議さがさらに際立って見えるだろう。さすが「ジャンボ」、かつて香港を象徴した存在は只者ではなかった。

(Hint-Pot編集部)