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タワマンにネガティブ感情を持つ職業とは “あるある”裏トラブルを不動産のプロが解説
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教えてくれた人:姉帯 裕樹
プロが考える「タワマンが配達員を困らせる理由」
「これもタワーマンションにまつわる“あるある”です。僕が思うに、タワマンが本当に配達員からネガティブな感情を抱かれているとしたら、大きく2つの理由があるのではないでしょうか」
そう語るのは、不動産のプロである「コレカライフ不動産」の姉帯裕樹さん。不動産の仕事に携わって20年以上、タワマン案件も多く手がけてきた姉帯さんが考える理由とは、どのようなことなのでしょうか。
「一つは、タワマンはセキュリティや高級感を売りにするため、エントランスが複雑怪奇になっているということ。同じマンションなのに、高層階と低層階の入口が別になっている場合や、エントランスで届け先の部屋を呼び出したのはいいものの、エレベーターホールに入る際にもう一度呼び出しをしなければならず、手間がかかる場合もあります。
また、受付で名前を告げてからタワマンのスタッフが届け先の住人に確認を行い、入館許可証などの発行を待たされることも。スピード重視で配達したい人には歓迎されないかもしれませんね」
確かに、配達需要が増えている今、いかに早く多く配達できるかは重要なポイント。配達件数でその日の収入が決まるサービスもあるため、1軒でも多くと考えるのが当然でしょう。姉帯さんも、やはり時間は大きなネックになると続けます。
「もう一つの理由は、単純に時間がかかるということ。例えば高さ100メートルのタワマンで最上階に届けると考えれば、最低でも100メートルの移動が必要になりますよね。自転車なら数十秒程度でしょうが、タワマン内はエレベーターを使うしかありません。なかなか来ないエレベーターを待ち、廊下を歩いて、ようやく目的地に至るのですから、難色を示す配達員が多くても仕方がないといえます。
残念ながら解決策は今のところないように思いますが、お店と配達が別のサービスではなく、配達サービスも自分たちで提供しているお店に頼むと良いかもしれません」
ちなみに、1階が緑地化されている高級タワマンでは、駐輪場所を探すのが簡単ではないケースもあるそう。また、同じ建物内で複数の部屋に配達する際も、1階からのエレベーターが目的階にしか停まらないため、1軒配達すると1階の正面玄関に戻って次の部屋を呼び出すという手間を繰り返すこともあるようです。
ちなみに、麻里さんは引っ越しを考えておらず、気遣いで対応しているとのこと。
「義両親の親切心なので引っ越しは考えていませんが、どうせ購入してくれるのであれば戸建てが良かったなぁ……なんて、ついつい思ってしまうことがあります。最近は配達員さんをねぎらうため、冷えた炭酸ジュースを常備。『遠くまでごめんなさい。これを飲んで頑張って』と声をかけるようにしています」
とはいえ、「配達を頼む度に気疲れしてしまいます……」とも。便利なサービスではありますが、タワマンでは頼む側も頼まれる側も大変なようです。これから購入や賃貸での入居を考えている人は、ある程度の心がまえが必要かもしれませんね。
(和栗 恵)
姉帯 裕樹(あねたい・ひろき)
「株式会社ジュネクス」代表取締役。宅地建物取引士の資格を持ち、不動産取り扱い経験は20年以上を数える。独立した現在は目黒区中目黒で不動産の賃貸、売買、管理を扱う「コレカライフ不動産」として営業中。趣味はおいしいラーメンの食べ歩き。