インタビュー

離婚、SNSの誹謗中傷、ハラスメント…人生につきもののトラブルを大きくしないコツ

著者:中野 裕子

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離婚など男女間の問題を多く扱う弁護士の三輪記子先生【写真:山口比佐夫】
離婚など男女間の問題を多く扱う弁護士の三輪記子先生【写真:山口比佐夫】

 新型コロナウイルス感染症の流行で生活が変化し、ストレスを抱えている人も多いという。コロナを機に離婚してしまう“コロナ離婚”が現実的になるなど、深刻な“解決しなければならない困り事”に直面しているケースもあるだろう。そんな時にどうすれば、より良い解決ができるのか。具体的な一歩として何ができるのか。離婚など男女間の問題を多く扱い、「困っている女性が多く、根が深い背景があると感じる」と話す弁護士の三輪記子先生に話を聞いた。

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コロナ離婚問題 環境変化で決断が早まっていると感じることも

 コロナ禍だから離婚相談が急増した、といった劇的な変化は感じられません。ただ、コロナによる環境の変化が後押しになってご本人の決断が早まっているな、とは感じています。コロナ禍のため自宅にいる時間が長くなり、自分と向き合い考える時間が増えたからなのではないでしょうか。

 例えば、普段から夫に言いたいことが言えない関係性の夫婦。コミュニケーションをしっかり取れていない妻が、コロナ禍で夫と一緒にいる時間が増えたことで、問題に目を背けられなくなって離婚の決断が早まる、というようなケースです。

 また元々、子どもの教育方針で行き違いがあった夫婦が、コロナ禍で子どもがオンライン学習をするようになり、「子どもの教育をどうするか」と話し合う中で夫婦間の溝が深まるパターンもあります。でも、子どもを抱えての離婚や熟年離婚は経済的困窮につながる可能性もあるので、私は相談者の方が何を優先したいのか、よく考えてもらうようにしています。

SNSでの誹謗中傷 「書き込みをしてしまったがどうすればいいのか」という相談も

 女子プロレスラーの木村花さんが2020年5月に自宅で亡くなられた事件を機に、SNSを使った誹謗中傷の問題に注目が集まりました。「書き込みをしてしまったがどうすればいいのか」というご相談もあります。

 匿名での書き込みであっても書いた人が特定されれば、脅迫罪や業務妨害罪、名誉毀損罪、侮辱罪などの刑事罰に問われるケースもありますし、民事上の損害賠償を請求される可能性もあります。私たち一人ひとりが言葉は凶器になることを自覚しなければいけません。

 法的にも犯罪になったり民事上の不法行為責任を問われたりする可能性があり、悪いことをしたという気持ちがあるなら「まずは削除して、今後はこういった書き込みをしないようにご自身を顧みるとともに、相手に対する謝意を表明することも検討してください」というアドバイスをしています。

泣き寝入りをしないで、声を上げることが大事

 こうしたトラブルは普遍的な話で、コロナ禍だから起こるわけではなく、コロナ禍であってもなくても起こるものです。生きていれば何らかのトラブルに巻き込まれることは避けられません。事前に注意しておけば良いこともありますが、あらゆることに防御線を張って暮らすことは不可能です。

 ですから、トラブルは起きるものだということを前提に、トラブルが起こった時に、どの問題はどこに相談するか――相談窓口を知っておくことが大事だと私は考えます。適切なところへ相談することで、トラブルが大きくなるのを防ぐことができます。

 例えば、ネット通販で詐欺にあったら、都道府県や市区町村の消費生活センターや国民生活センターの消費者ホットラインに電話をかけるとアドバイスをもらえます。もちろん法律相談もいいですし、悪質な場合には警察に相談するのもいいでしょう。

 相談をすれば、センターなどにとってはそれがデータとなり、同種の問題を抱える方が多ければ社会的な問題として公的機関に認識されるきっかけにもなりますから、声を上げることが大事です。泣き寝入りをしないで、相談してみてほしいですね。

 SNSに関するトラブルでは、アスリートが盗撮されて性的な文言を付けて投稿されたりするセクハラが問題になっていますが、JOC(日本オリンピック委員会)は情報提供窓口を設けています。不快に思ったり、困ったことがあったりしたら、「相談できる窓口があるんじゃないか」「私の悩みにフィットする専門家がいるんじゃないか」という発想を持ち、相談窓口を探してみるようおすすめします。