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お金

物価高に負けない家計の作り方 FPが教える節約の次にやるべきこととは

公開日:  /  更新日:

著者:橋浦 多美

節約ができたら備えたい3つのステップ

 節約ができて家計が引き締まったら、次のステップに進みましょう。

ステップ1 貯める「強制貯蓄! 貯めるにはこれ以外に選択肢はないと思って」

 毎月お金を貯めるには、強制的に貯蓄しなければ実現できません。つまり「余ったら、余裕があれば」ではダメなんです。会社で財形貯蓄制度がある方はそちらから強制的に貯める、ない方は「定額自動送金」のシステムを使って強制的に貯めましょう。

 貯める金額の目安は、収入の2割です。手取りが20万円ある方は4万円。これを12か月続けると48万円、5年で年収分を貯蓄できます。まずはここを目標にしてください。

 貯蓄に回す2割のお金は元からなかったものとして認識し、ひたすら貯めていくことをおすすめします。「お金を貯めたい=強制貯蓄」。この一択と考えてもいいくらい大事です。人間の心は流されやすいもの。早めに貯蓄の流れを仕組み化しましょう。

ステップ2 増やす「投資に一歩踏み出す前に……お金リテラシーを持とう」

 しっかりと貯める仕組みを作ることができたら、続いて投資に一歩踏み出しましょう。2022年4月からは、高校の家庭科で投資教育も始まりました。

 ただし、投資にはリスクがあります。そのリスクを把握することなく、急に飛び出すのはやはり危険です。お金の本を購入し勉強をする、お金のセミナーに参加をする、ファイナンシャルプランナーに相談をするなど、今はいろいろな方法があります。勉強をしてある程度理解できたら、自分たちの資産/負債をしっかりと把握し、自分たちのルールを決めましょう。

 例えば、

・ウサギよりカメ方式でコツコツやるのか、スピードを求めるのか
・数年後の目標額はいくらにするのか
・どのくらいのリスクをとるか
・上がり下がりの変動があった時にはどうするか

 などです。これらはできれば、家族や夫婦で一緒に決めてほしいもの。自分はこうだと思っていたのに、他の家族と意見が合わなかった……というような食い違いが後から出てくると、成功しない大きな原因になります。

ステップ3 備える「投資をしたら終わりじゃない。見直して備えて!」

 投資を始めたけれど、うまくいかなくて“なあなあ”になってしまった……。株を始めたけれど、下がったタイミングで塩漬けになっている……。これは投資をしたまま放置している人の“あるある”話ですね。

 投資は金融商品を買って終わりではありません。どんな金融商品を買っても、その後どうなったかをきちんと見ておく必要があります。マーケットは常に動いており、リスクがある商品だからなおさらです。

 投資した商品はどうなっているか。今のマーケットにはどう反応しているか。これらの定期的な見直しは投資を成功させる秘訣の一つです。そのためには、お金の話し合いを家族で定期的にすることもおすすめです。1か月に1回、30分などと決めておきましょう。

この先の不安…解消するには自分たちが動くしかない!

 私たちの老後は「年金」というシステムで守られていますが、受給開始年齢も遅くなり、支給額も目減り。「もしかしてこの先は年金をもらえないの?」と不安に思う方も少なくないと思います。

 この年金システムの基礎が始まったのは戦時中。当初の平均寿命は50歳程度で、状況は今と大きくかけ離れています。寿命も延び、医療技術も進んで長寿の国となった今の日本で、前時代的な制度の年金が同じように支給されるのには違和感があります。

 これから制度が変更していくことは大方予想がつくこと。加えて、現在の預金金利を見ると、ゼロ金利政策の流れから0.数%になっています。世の中の物価上昇率に照らし合わせると、残念なことに私たちが預貯金しているお金の資産価値はすでに目減りしています。

 そして、しっかりとした資産形成は、今日スタートして、明日結果が出るということはありません。短く考えても数年から数十年という時間が必要。結局は早く投資を始めることがお金を守る近道なのです。早速、暮らしの見直し、貯蓄や投資の仕組み作りを始めていくことが不安解消につながるでしょう。

(橋浦 多美)

橋浦 多美(はしうら・たみ)

1973年11月3日、宮城県仙台市生まれ。フリーアナウンサー、ファイナンシャルプランナー。会社員からフリーランスに転身した時にお金の大切さを知り、勉強を始める。現在はファイナンシャルプランナーや宅建士、証券外務員などの資格を取得し、「しゃべれるファイナンシャルプランナー」として、セミナーやラジオにも出演。家計のモットーは「見栄は張らずに、財布が張る家計」。プライベートでは双子男児の母として、出費が一気に2倍になる教育費と格闘中。著書に「四畳半経済のススメ~コンパクトな家計を実現する87のコツ~」(ゴマブックス刊)などがある。