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家計の見直しで「食費」を後回しにすべき理由 予算を現金で振り分けると節約意識が向上
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4月に続いて5月も、日銀発表の企業物価指数(企業間で取引されるモノの価格)が過去最高を記録しました。前年同月と比べて9.1%も上昇するなど、高い水準が続いています。家計への影響が心配ですが、この状況にどう対応していけばいいのでしょうか。ファイナンシャルプランナーの資格を持つフリーアナウンサー、橋浦多美さんに今からできる家計との向き合い方や節約方法を教えていただきました。
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物価上昇の今こそ 予算管理と振り分けの見直しを
今年に入って、どのくらいのものが値上げになったのか……。あれもこれも値上げのオンパレードです。いつも買っていたものが少しずつ値上がりすることで、結果的にはまとまった支出アップに。また、それらが落ち着く兆しもありません。
世界的なエネルギー価格の高騰、ウクライナをはじめとする世界情勢、そして円安。食料品にとどまらず、これからもいろいろなものが値上がりすると予想されます。そこで上手に活用してほしいのが「予算管理」です。
予算管理がしっかりできれば、これからも続きそうな物価上昇にもしっかり対応していくことができるかもしれません。改めて自分の家計をよく知り、予算を少し変更する、振り分けを変えるといったことで無駄を防ぎ、効率良く家計を引き締めましょう。
まず節約すべきところは? 上手に節約できる順番
家計を節約したいと思った時、真っ先に思い浮かぶものはどの費目でしょうか? 皆さんに聞くと、なぜか日々の「食費」という方がとても多いです。しかし実は、食費を削るということは、とてもストレスが溜まることでもあります。
長い間にわたって繰り返してきた生活習慣を変えるストレスは、実のところ節約の大敵。「もう、面倒くさい!」と思った時、一気に散財してしまうようなことにつながりやすく、また最近の食料品価格上昇を見ると食費で節約をするのはとても難しそうですよね。そこで食費の節約はひとまず後回しにして、最初は「固定費」から狙ってください。
「固定費」で思いつくのは、家賃(住宅ローン)や水道光熱費、車関係、携帯電話とプロバイダーの通信料、保険料、習い事、各種のサブスクリプション……などです。人によっては支出のないものもありますが、要するに固定費とは“毎月必ず支出する項目”を指します。
一方で「変動費」は、食費や交際費、医療費、美容費、レジャー費など。支出するかどうか分からない、または支出しても金額に違いがあるものです。
「固定費」を最初に狙ってほしい理由は、「一度削るとずっと削ることができる」というメリットがあるからです。とはいっても、住宅関係は引っ越しを伴うので大がかりになってしまいます。身近なところで考えると、携帯電話代や車関係、保険料、習い事、サブスクなどでしょうか。
例えば、携帯電話の契約内容を変えて月々2000円を減らすと、1年間で2万4000円の節約です。あまり行かない習い事を思いきって辞めて月謝8000円の支払いをストップしたとすると、年間で9万6000円の大幅節約になります。
つまり“まずは固定費を変えて変動費は積極的には変えない”という予算管理の方が、結果的に楽なのです。もし、これを食費だけで対応するならどうでしょうか? かなり難しいことはもうお分かりですね。生活全体を一度見直し、新しい予算を割り振るようにしてください。