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治安が良いオーストラリアで日本人を襲う犯罪とは 傾向と対策を現地在住記者が解説

公開日:  /  更新日:

著者:守屋 太郎

詐欺や性犯罪には細心の注意を心がけたい

シドニー市内の街角。比較的治安が良いとはいえ、2010年代半ばにはテロ事件が起きたことも【写真:守屋太郎】
シドニー市内の街角。比較的治安が良いとはいえ、2010年代半ばにはテロ事件が起きたことも【写真:守屋太郎】

 とはいえ、今でも日本人が性犯罪や詐欺、暴行などの被害に遭うケースは少なくないようです。例えば、シドニーがあるニューサウスウェールズ州では「全体の犯罪発生率は日本と比べて極めて高く、特に強盗や性犯罪、詐欺事件、暴行・傷害事件は日本の20倍以上の発生率」(外務省の海外安全ホームページ)といった指摘もあります。強盗や盗難、女性への強制わいせつなどの報告例は同ホームページに記載されていますので、渡航を検討している人はアクセスしてみてください。

 過去には、日本人女性に近寄って交際した上で、金銭を巧みに騙し取る恋愛詐欺の常習犯もいましたし、1人でシェア物件の内覧に来る女性を狙った性犯罪も起きています。最近では、シェア物件の保証金を騙し取る詐欺事件も。

 どこの国にも、犯罪者や詐欺師はいるものです。比較的治安が良いオーストラリアといっても、日本とは違い自分の身を守るのは自己責任。常に緊張感を持ち、身の回り品を手元から離さない、女性は夜間の一人歩きを避けてタクシーに乗る、怪しい人間には気を付けるなど、自己防衛策を徹底してほしいですね。

 また、2014年には過激派組織「イスラム国(IS)」の思想に感化された単独犯の男がシドニー市内のカフェに人質を取って立てこもり、警官隊突入の際に人質2人が死亡するテロ事件がありました。15年にも、同じくISに共感したイラン出身の若者がシドニー西方で警察職員を銃撃するなど、テロリストが銃や刃物で無差別に市民や警官を襲う死傷事件が起きています。

 ここ数年は、中東の紛争地域におけるISの影響力低下により、一見すると国内におけるテロの脅威は低まったように感じられます。しかし、オーストラリア政府は、テロ警戒レベルを5段階中3番目の「起こりそう」(Probable)に指定し、摘発を継続中です。少なくとも日本よりは、イスラム原理主義者によるテロ事件が起きる確率は高いと言えます。国際情勢やテロ関連情報には常にアンテナを張っておくことも必要でしょう

 次回は、オーストラリアにおける自然災害のリスクについて解説します。

(守屋 太郎)

守屋 太郎(もりや・たろう)

1993年に渡豪。シドニーの日本語新聞社「日豪プレス」で記者、編集主幹として、同国の政治経済や2000年シドニー五輪などを取材。2007年より現地調査会社「グローバル・プロモーションズ・オーストラリア」でマーケティング・ディレクター。市場調査や日本企業支援を手がける傍ら、ジャーナリストとして活動中。